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2005年11月12日(土) 演奏会を聴きに:ヴァイオリン・ピアノデュオ

今日はもう私のリサイタル前日。ここ一週間ほどはいつもにもまして一日がすぐに過ぎてしまうような気がしています。

きのうはとてもよく眠れたので、気分もすっきりしています。今日まずしたことは昨日の通しの録音のチェック。ベートーベンの1楽章を弾き終えたところで、先生が舞台に上がってきて、「ものすごいエネルギーをもって弾いているので、明日このままいってしまうと崩れる場合も考えられます。最初はとくにコントロールしながらお弾きなさい」などといってくださったのがよく理解できるような演奏でした。自分自身ではそんな風に感じていなかったのですが、これでは聴いている人は居心地が悪いかもしれません。ほかのものは大分落ちついているので、それは注意をしなければなりません。

そして、明日のドレスのチェック。ドレスといってもオーケストラで着慣れているブラックのロングドレスの上に、シルバーグレイというかくすんだ水色というか、のトップを重ねるだけなので、なんということはありませんが、ブラックはいくつかもっているので、フレアにするか、細身にするか…。両方着てみたのですが、やはり細身のもののほうがシャープな印象になるので、そちらにすることにしました。靴はビーズのあしらわれたブラック。私のお気に入りで、壊れたかかとも最近直してもらっているので、準備は万端です。

お天気もよいし、少し外の空気も吸いたい、とちょっとした買い物にでましたが、予想以上の時間をとられてしまって帰宅が3時頃になってしまいました。ピアニストとの約束が4時半だったので、4時過ぎには自宅をでなければなりません。いそいでブラームスだけ少しさわって、家を出ました。

4時半からホールで簡単なリハーサル。昨日の通しの録音を聴いてわかったことなどを話し、落ち着いた状態でいくつかのスポットを弾いておきました。

約束とおり、6時にはホールを出て、私は練習室へ。7時には友人のNちゃんと会い、彼女の今晩のチケット購入に付き合いました。その後、彼女と一緒に夕食。日本食レストランでNちゃんは親子丼を私はチキンカツ丼をいただきました。振り返ってみれば今日はじめてのきちんとした食事でしたので、少しカロリーの高いものを、またいわゆるげんかつぎというでもいいましょうか、「カツ」を食べてみることにしたのです。久しぶりのカツ丼はあつあつでとってもおいしくいただきました。話もはずむなか、もう7時40分。急いで大学キャンパスのほうに戻り、私の先生の演奏会へと向かいます。

私の尊敬する先生と奥様のリサイタル。プログラムは:

Mozart - Sonata in B-flat Major, KV 378
Strauss - Sonata in E flat Major, op.18

---intermission---

Bach - Partita No.3 in E Major, BWV 1006,
piano accompaniment by Robert Schumann
Britten - Suite, op.6

といつものとおり盛りだくさんでした。いつも思いますが、先生の音楽の作り方は本当に説得力がありますし、常に演奏を続け、勉強を重ねていらっしゃるお姿は本当に尊敬しています。と同時に私もぜひ後を続きたいといつも感じずにはいられません。アンコールにバッハのソナタ、確か4番からひとつの楽章をお弾きになったのですが、私はあの曲がとても好きなので、つい涙がでてしまいました。いつもそうですが、先生は演奏会のペースを作るのがとても上手です。いつも後半にいくにつれてどんどんよくなっていくのです。これは経験から自然に身についたものなのでしょうが、見ていてとても楽しいものです。私はこれらの曲のなかで、Brittenが一番好きでした。先生の技術もさることながら、曲がすばらしい。いつか楽譜を見てみたいと思います。

演奏会後はたくさんの聴衆が先生にご挨拶に行くのが常で、いつもとても長い行列ができてしまいます。ちょっとないてしまったこともありますし、ラインで待つのも疲れるかと思ったので、私とNちゃんはみんなが引くのを待って、最後に先生のところにご挨拶にいきました。奥様とハグをして、先生のところにいくと、やはりいつものように少し躊躇してしまったのですが、先生がおいで…という感じで腕を広げてくださいました。それもとてもうれしく、正直に「涙が出ました」というと先生はさらりと頬の涙をぬぐってくださいました。「明日はあなたの演奏会なのですから、疲れないようにね」と興奮気味の私に声をかけてくださいました。

その後、練習室へ。
1時間半くらい練習をして、12時前に練習室をあとにしました。

与えられた時間のなかで、私のできることはもう全部したでしょう。


けい |MAIL

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