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今日はVeteran's Dayで学校もお休みで、クラスもないのですが、先生のご提言でリサイタルの予定があるヴィオリストと私はホールにてリハーサルをすることになりました。金曜日のクラスでは通常、ホールが使えないのですが、今日はクラスがないために私たちが使うこともでき、ある意味ではとても幸運だったように思います。
ヴィオリストの伴奏者の都合で、まず彼女がホールでリハーサル。私は11時半から1時間ほどリハーサルをして2時からホールで通し。同じ楽器の学友に譜めくりもお願いしておきました。ピアニストの都合もあったので、今日はベートーベン、新曲、ブラームスをまず演奏。ピアニストと譜めくりの方はそこまでで、後でバッハを弾きました。
いつもはなんでもないベートーベン。それが、1楽章を弾き終えたところで、先生がわざわざ舞台に上がってこられてこうおっしゃいました。「二人ともすごいエネルギーを持って弾いています。それはよいのですが、演奏会当日にそれをしてしまうと演奏が崩れる可能性があります。初めにテンポはこれ、と決めたら、そのままいき、コントロールできる余裕を残しておきましょう。」二人で弾いている分にはまったく気がつきませんでしたが、これは後で録音を聴いてみた時点でとても明らかになりました。
やはり演奏会直前で、興奮が高まっていたのでしょうか。もしも、私がこの演奏を客席で聴いていたら決して心地よくはない、というくらい、どこかせかせかした演奏で、ゆとりがありません。テンポがどうこう、キャラクターがどうこうという問題ではなく、とにかくEdgyなのです。先生はとくに何もおっしゃいませんでしたし、録音を聴く限り楽章が進むにつれて、だんだんよくはなっているかもしれませんが、ベートーベンは全体を通して、そんな兆候がみられたように思いました。一方、新曲、ブラームスはいつもの感じで問題はありませんでした。録音を聴いても、新曲になると突然雰囲気が変わり、落ち着いてきているのが聞こえてきます。
3時にピアニストとの通しは終えましたが、先生と奥様がホールを使うとのことでしたので、すぐにバッハは弾かせてもらえませんでした。「荷物はそこにおいておいて良いので、あなたはちょっと休憩していらっしゃい」とのこと。今日はお休みで学校のカフェも開いていないので、散歩がてら、駐車場まで歩いていき、車のなかにおいてある日本のファッション雑誌を眺めながら30分くらいすごしました。4時に戻るようにとのことでしたので、その10分くらい前にはホールに戻り、先生と奥様がリハーサル中なのを横目で見、なんという魅力的な演奏だろうと耳をそば立たせながらも、バックステージに回り、ミュートをつけてバッハのウォームアップを始めました。
しばらくすると「私はもういいわ」と奥様が帰られたので、舞台の方へ行ってみると、先生が練習をされていて「あと5分」とおっしゃるので、またそのままバックステージに戻り、私も練習をしていました。
しばらくすると先生が呼んでくださり、ようやくバッハの演奏がはじまりました。
GraveもFugueもいつもの感じで弾けました。先生にご指摘いただいたことは「フォルテでコードを弾くときに、弓圧が少し多すぎる傾向にあるので、それだけ気をつけなさい。音量は充分ですから、それ以上何かを求める必要はないですよ」ということ。バッハに関しては、明日はもうこれだけを考えて弾きましょう。
バッハを終えると先生も帰宅されるということで、駐車場まで一緒に行きました。「先生、バッハを弾かれていましたよね。すごくかわいい感じだったのですが、アンコールか何かで使われるのですか?」という会話や、先生はブリテンを弾かれるようで、「最近、ブリテンの協奏曲を2度ほど聴く機会があったんですよ」とお話すると、「ブリテンは20世紀の作曲家としてすばらしい作品を残しているので、もっと演奏されてもいいと思いますね」とのこと。
帰宅後はプログラムの印刷のためお店に行きました。夕食を買ったりもして、そうこうしている間にもう8時過ぎです。
夜になると、なんとなく不安になってきたので、ピアニストに電話をしてみました。今日のベートーベンでの様子を伝えると同時に、「私はいつも練習をしすぎたり、自分の能力以上のものを求めてしまう傾向にあって、これまでは本番で実力がだせなくなることが多くあったのだけれど、今回はそういうことはできるだけ避けたいな、と思って。なので、舞台経験の多いあなたはどんな風にすごしているのかな、と参考にさせてもらおうと思ってのお電話なの」と素直にストレートに私の気持ちを聞いてもらいました。すると、彼女もとてもオープンに気持ちを話してくれました。彼女が心がけているのは普段と変わらない生活をすること、とのこと。ピアノに触れるのもトータルで2,3時間。「今日はあのリハーサル以降、練習はしていないから、あれはあれで終わり(笑)」とおっしゃっていたので、私も疲れていましたし、安心して、夜の練習は省くことにしました。
当日はやはり演奏会のことを考えてしまうそうで、短時間ピアノを弾いたり、別のことをしたりの繰り返しが多いそう。分けての練習を2時間くらいされることが多いとのことでした。
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