万談館
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2002年10月10日(木) G3外伝  第1話 エウーゴ前夜(6)

 シオンが昨日の喫茶店に行くと、そこにティガの姿があった。昨日のスーツ姿と違い、ブラウスの上にカーディガンを着てスカート姿だ。目の前のテーブルには紅茶のカップが置かれていた。
「もう来ていたんだ。遅くなって御免」
「いいえ」
 ティガは首を横に振りながら、現金の入った封筒を差し出した。
「これ。昨日はありがとうございました」
 シオンは封筒を受け取った。
「何か飲みますか?」
「いや、今日はすぐ出るつもりだから・・・」
「じゃあ行きましょうか」
 ティガは立ち上がると、シオンの腕をとって歩き始めた。
「ちょっと・・・」
「少し付き合ってください」

「・・・・・・・・・」
 シオンの目の前に青い水が広がっている。涼しい風がシオンの顔に当たり、白鳥がはばたく姿が見える。
「・・・・・・・・・」
「私、この風景好きなんです」
「・・・・・・・・・」
「シオンさんはどうです?」
「うん、まあ・・・好きだよ」
 シオンはやや呆然としながら目の前の湖を見つめていた。
「そうですか? 知ってます? この湖って運命的な出会いができるんですって」
「えっ!!」
「そんなに驚かなくても。私たちが出会ったのはここじゃないじゃないですか」
「いや、そうだけど」
 シオンは答えながら、この雰囲気はまずいと感じていた。彼の戦士のカンが、この状況は危険だと告げている。
「俺、彼女がいるんだ」
「あ、そうなんですか。シオンさんだったら、そうでしょうね」
 シオンが張った防御線は、簡単に抜けられた。
「ライザって言うんだ。今、一緒にいる」
 シオンは攻撃を仕掛けてみた。言った後でウソは言っていないと自分に確認した。確かに「キールピーク」内に一緒に住んでいる。
「本当ですか! じゃあ結婚するんですか!」
「いや、まだそこまで・・・」
 シオンは思わぬ反撃に会い、後退してしまった。


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シオンへ
ちゃんとティガにはっきりと伝えたからねー(笑)
約束は守ったぞ(笑)


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