永久という名の瞬間
2004年04月07日(水) 私には、無理

I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes.
僕は耳と目を閉じ、口を噤んだ人間になろうと考えたんだ。

 つい最近、村上春樹が訳して有名になった『THE CATCHER IN THE RYE』の一説。
 野崎氏の訳では、『誰もぼくを知らず、ぼくのほうでも誰をも知らない所でありさえしたら。そこへ行ってどうするかというと、ぼくは唖でつんぼの人間のふりをしようと考えたんだ』となっています。
 原作は読んだことはないけれど、最近見たアニメ『攻殻機動隊』で使われていたので知った科白です。


 共感する一文ではあります。でも私はとてもそんなこと出来ない。
 私は嵐の転校生で、一年に一度転校していたから、幼い頃から知らない人の間に叩き込まれる経験が、人の数倍あった。
 そのたび私は唖の人間になろうとしたけれど、結局は声を出してしまうのが毎回で。
 経験上、本当にめくらでつんぼでないと、人は口を噤むことはできないと思い至りました。
 
 私はもう、言葉を吐き出すのが辛い。
 意味の無い、そう、まるでこの文章のように無意味な言葉を吐き出しつづけるのなら、いっそ唖になりたいと思う。
 しかしそのためには、この目と耳を潰さなくてはならなくて。
 そしてこの手も切り落とさなくてはいけない。

 アウトプットを抑制する為には、まずインプットを止めなきゃいけないってことですかね?

結論。私には、無理。

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photo by 東雲