Out of Blue
dabaya



 続新潟

さて、翌朝6時にホテルロビーに集合の為、
5分前には仕度して行ったけどまだ誰もいなかった。

しかもフロントも含め全ての明かりが消えていたの
で、チェックアウト時に、あのおばぁちゃんが
ちゃんと起きてくれるかも心配だ。
6時ちょい過ぎになってようやくエレベーターが
下りてきて野村さんがきた。
『おはようございます、辻口さんは来てますか?』
と聞いてきたので、
見りゃわかるだろ!真っ暗闇の中俺1人しかいな
いんだから...と思いつつも

『まだみたいです』と返事するをと
『じゃあちょっと僕、駅まで行ってきますね』

え?と返事する間もなく彼はさっさと出て行って
しまわれた。

この仕事はチーム全員が別会社の派遣の事が多い為、
基本的にはモラルは良く遅刻をする人は滅多にいないの
にも関わらずもう1人の辻口さんは起きてこないし、
野村さんは駅に行ってしまうし(彼は根っからの鉄道
ファンらしい)で、朝からちゃんと時刻きっかりに待って
た俺が一番バカを見た。

朝の6時15分頃になってやっとエレベーターが動き
出す。

ふ〜、やっと猿人が文明の利器を使ってのご登場か?...

ロビーにやってきた猿...いや、辻口君は開口一番遅刻して
きたことに対しての謝罪の言葉を述べる事もなく

『ウ〜、野村さんは?』と尋ねてきた。

俺が駅になんの用かわかりませんが、行ってしまい
ましたよ。と言うと

『何考えてるんだ?あいつは』とご立腹。

俺は『あなたも遅刻してきたのに謝らないんかい!』
と言いたかったが、とりあえずまだ今日で2日目。
今日からまだ5日間も行動を共にする為、あまり互いに
角が立つ発言は控えようと我慢。
とりあえず野村さんが一向に戻ってくる気配がないから
離れの駐車場まで車を取りに行くことに。

それからホテル前まで車を横付けする頃ようやく野村
さんが帰ってきた。
戻ってきた時の彼の発言です。
『いや〜昨日も1枚買ったんですけど、また別の
種類の記念キップ買っちゃいました』

俺>.....(それが目的だったか)

すでに時間は6時半になろうとしていた。
さっそくパソコンのセットUPも完了し、今日1日
回る地図をCheck。すると、おや?おかしい。
今日回る地区とこれから向うエリアがホテルから結
構離れてる事が判明。どうしてここ選んだんだろ?

....答えは自ずと導かれた。

俺等は単に野村君の鉄道記念キップ入手の為にこの
ボロホテルに6000円の投資を余儀なくされたのだ。

さて、今週の基地局探しの概要を教えますと、他社製の
携帯の電波入力感度をこまめにパソコンの画面上で調べて
その感度が上がった付近に基地局をあると推測し、あとは
ひたすらその近辺を3人でキョロキョロ目視や双眼鏡を使
って探すというある意味非常に地味な作業をなんだけど、

3人が全員初めての仕事内容にも関わらず作業開始から
1時間もしない内にさっそく●-フォンの簡易アンテナを発見!
これなら1日走れば何個かは簡単に見つかりそうだと楽観的に
なった。

その基地局のデータ取りを終えると、野村さんがいきなり
こう行ってきました。
『あの、この近くにあるバス停があるんですが、そのバス
停で記念写真を撮りたいんで行ってもらえますか?』

俺>....え?、い、いいけどアンテナ探しの今日の
ノルマ大丈夫?
(かなり広範囲は地図をやる為1日のスケジュールは
かなりきついはず)

猿(辻口)>ウ〜、遊びじゃないで〜

と2人が躊躇した発言ってのは誰の目にも明らかにも関
わらず彼は問答無用でこう即答してきました。
『平気です、本当にすぐ終わりますからこの近くなんです
御願いします』
とどうにも諦めたくない様子。
俺>じゃあすぐなら行きましょう。
って事になり渋々と進行方向逆にUターンをかまし
(この時点で時間ロス確実)そのバス停を探す事に。
しかし、すぐ終わるはずのバス停記念撮影が肝心のバス停
を見つけるのに30分以上もかかってしまった。

話しがぜんぜん違うやん!すぐ終わるんじゃなかった?

と思いつつもここまで時間をロスした以上
俺自身、いったいどんな珍しいバス停なんだ?と
興味を抱くようになっていた。
地元のあばちゃんに野村さんがバス停名を尋ねてた。
その甲斐あってようやく発見!
このおばちゃんに野村さんがバス停名を尋ねたじ時点で
俺のバス停に対する淡い夢は消え失せる。

バス停の名前が単に

   『野村』

どこにでもあるごくごく普通のバス停....
単に自分と同じ名字のバス停かい!と突っ込みを入れた
かったが、そのバス停を見つけた時の彼の嬉しそうな表情
といったらそりゃもう無邪気なもんで、呆れるまでも
許してしまいました。ヽ(´▽`)/

そしてさっそく会社のデジカメを私用目的で撮影開始。
カメラマンは何故か俺。
彼は至福の笑みを浮かべてバス停の看板の横に並んでます。
ちょっとその笑顔がある意味逝ってしまってるようにも
見えましたが、なんとか無事撮影終了。

一体付近の人は何をやってる人達だと思った事でしょう。
バス停の横で不気味に笑う青年。それを撮影してる俺。
冷ややかな視線でその光景を見つめる猿人....
どうみても普通じゃない!

ま、思えばこの写真が彼の新潟出張での苦い青春の1ペー
ジとなって記憶に残る事とはこの時点(満面の笑み)では
思いもしなかったことでしょう。








2001年11月20日(火)
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