2007年03月26日(月) 遠くの町に住むチビ。


「すんません・・・今電話いいっすか?」

26日AM0:05
後輩から電話があった。
久々ってわけでもないが、
今から書くような話をコイツとしたのは初めてだった。

「お?いや、ええけど。どうした?」

「いや、ちょっとね。うん。マジやばいんっす」

「ほう。なんや」

「ちょっといいっすか」

「いや、無理」

「エッ」

「携帯電池切れそうやからこっちからかけるわ」

「あ、はい」

そうして、電話を切り、家の電話から電話をすると、
若干音がクリアに聞こえて、
彼が外にいる、もしくわ外の空気に触れていることが分かった。

風がざわめく音と、車の通る音がした。

「今ね、好きな女の家の前にいるんですよ」

童貞21歳。
夢は映画監督の彼は鼻息を荒げて言った。

「ほう、どうしてまた?」

「いやね。簡単に言うと、彼女が彼氏と別れたらしいんっすよ」

「ほう。お前はソイツが好きなんか?」

「え?あ、はい。好きっす」

「彼氏と別れたから、だからどうしたいんや?」

「いや、どうしたいってのはないんっす。
 でも、悲しんでるって聞いたらいてもたってもいられなくなって、
 家飛び出したんっす。明日仕事だけど。
 今、女の家の前にいるんっす」

「ほう。で、お前は俺に何の用があって電話したのだ?」

「え?いや、どうしようかなって」

「俺にどうしようか聞くのか?」

「いや、skさんならどうするかなって。
 もう!俺死にそうっす!」

「なんでまた?」

「よくわかんないけど」

「そうか」

「・・・・・・(鼻息のみ)」

「お前そこまで来たならいけよ」

「やっぱそうっすか」

「そらそやろ。お前男やろ」

「はい・・・でもなぁ!」

「今帰ったら、明日朝起きたとき、確実に後悔するよ」

「うーん・・・」

「今日お前が仮に行ったとしたら、確実に女はお前が、
 私のことを好きってバレるわ。だけどええやん。むしろ好都合。
 いってこい」

「でもなぁ・・・」

「男がやらなあかん時に、やらなって思うのになんでやらんのや。
 こんな小さなことで悩んでて、好きな女をお前は大切にできるのか。
 お前より辛いのは彼女やろ。お前、ソコまで来たなら行けや。
 明日ベッドで起きた瞬間を想像してみろ。
 もし、このまま帰って、朝起きたら、お前100%後悔する。
 か・な・ら・ずや。」

「そら分かってますよ」

「『男だろ』と男に言われていいのかお前は」

「うん・・・おし!がんばろっかな!」

「おう!そのいきや童貞!」

「うっさい!」

「男らしいってことは、優しいってことやと思うよ。
 別れなんてのは誰にだってあるし、辛いはずや。俺にもわかる。
 地球規模から見たらその子の悲しみなんてのは、
 海水をスプーンですくったくらいの規模や。
 やけど、彼女の心の大きさはそのスプーンや。
 悲しみばっかや。小さい心になってもうとる。
 お前に今できることを考えて、会ってこいって。」

「おし!がんばってきます!」

「おう。がんばれヤラズノハタチ」

「うっさい!あー・・・電話してよかった!いってきます!」

プーップーップー・・・

女の子と話すのさえシャイなアイツはできなかった。
なのに21歳にもなると、ちっとは男になるんだな。
なーんてねw
えらそうに考えてまんたよ。

結果は、バイクで二人でドライブして、
彼女を家に帰して終了・・・らしい。


で、彼にも言ったが、俺なら会わなかった。
だけど、お前なら会ってもいいんじゃねぇかって思う。
と答えた。

今の俺なら会わないが、昔の俺なら会いに行ってたとも言った。


僕もキナコ(彼女)と付き合う前色々あった。


キナコが元彼のことが好きって話を泣きながら僕に話してくれたとき。
図書館で勉強してたら、携帯の着信ですぐに外に出た君。
確か、電車に僕が乗った後も過ぎ行くホームの片隅で、
電話をしてたよね。

あの時は切なかった。
俺がキミを満たせないことが。

僕とは違う誰かを想い泣いていることが悲しかった。
よく我慢できたと想う。
今の俺ならできない。

最悪の方向に進む可能性もあった。

元彼を想う彼女の頭をなでて言った。

「次はきっといい恋ができるよ」

その恋の相手が僕。勿論そのつもりで言った言葉さ!

僕たちは今も付き合って、
そして、幸せだ。
彼女もきっと幸せだって想ってくれてるに違いない。
ちがったらどうしようw



今日電話をしたこのチビ。
これでフラれたら何回目だよw

まぁいいけど。

お前みたいに純粋で、だけどまっすぐなヤツ、
俺はいいと想うんだけどな。
世の中の女ってのは目がネーゼ全く。


成功を祈ってるぜ。
マジでな。

がんばれ!


 past    will


sk6 [手紙] [Ai to U]

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