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2001年09月26日(水) ■ |
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つれづれ“大阪近鉄優勝”日記 |
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今日、近鉄が勝てば12年ぶりのリーグ優勝が決まるという。昨日あたりから、おそらく今日の日記には大阪近鉄の優勝について書くのだろうなと薄々予感はしていた。私がテレビの前に座ったときは8回裏で2−4と大阪近鉄がリードされていた。9回表には更に1点を追加され、普通ならここで「あ、今日の胴上げはおあずけだな」となる。しかし、私はテレビの前から離れられなかった。きっと、ご覧の多くの方のそうだったはす。結果は周知の通り。あまりに壮絶で何をどう書いたらわからない。時間が経つにつれいろんなことを思い、考えさせられた。今回はテーマを絞らす、項目別に感じたことを書いていきたい。
☆ トレードされてよかったね! 9回表が、2つのエラーをした吉岡選手から始まると知り、「もしや」と思った。こういう試合、多くが汚名返上に燃える選手が活躍しているからだ。 また、満塁となる四球を選んだ益田選手、あまり注目されないが、あの場面でボールを冷静に選ぶのはそう容易いことではない。代打である以上、「打ちたい」という気持ちが先にあるだろうし。もし、彼が塁に出ていなければ、ホームランが出ても同点にとどまっていたし、試合もどうなっていたかわからない。ほこるべき「優勝への四球」だと思う。 最後をドラマチックに決めたのは、北川選手。阪神からトレードで入団した選手だ。だからでもないが、彼が決めてくれたことで、阪神ファンもこの優勝を人ごとで済ませられないはず。私も必要以上に嬉しかった。「阪神に残ってくれてたら…」なんて野暮なとこは言わない。バースデーサヨナラ打といい、松坂からのホームランといい、大阪ドームの女神に惚れられたのかなとさえ思ってしまう。
☆ 子供に戻れる「仕事」 プロ野球選手にとっては、野球は「仕事」である。「オールスター時には休みたい」「年俸を上げろ」など、私たちファンから見ればキレそうな態度も、それが「仕事」だという認識のもとにあると、気持ちわかるなあと思う。しかし、プロ野球選手、こんない素敵な仕事はないと思う。「優勝」という大きな仕事を成し遂げた大阪近鉄ナインの表情た仕草は完全に野球少年に戻っていた。うらやましいなと思った。私たち一社会人はどんなにすごい仕事をしても、子供にはまず戻れない。でも、私たちの心のどこかに「子供への帰巣本能」が残っている。だから、スタンドに観客がいるんだなと思った。
☆ 梨田監督のインタビュー 興奮冷めやらぬ中、優勝監督インタビューが行われた。梨田監督は終始、「ファンのみなさんの応援のおかげで」とか「ファンが後押ししてくれた」などと、ファンへの感謝を口にした。確かに、そこまで口にしてしまうほど大阪ドームのファンは凄かった。特に今まで閑古鳥の鳴いているようなところでの試合が続いただけに感激も他球団以上にあるはずだ。大阪ドームは満員だった。あれだけ込んでたら、ビールを買うところかトイレに行くのも困難だ。私は10年来の阪神ファンだが、こんな窮屈なスタンドで観戦したことがない。試合を見るときも、純粋に試合を楽しむというより、お酒のつまみにしている感も否めない。それはそれで楽しいのだが、いつしか、飲み食いを忘れるほど試合に没頭できる気分を味わってみたい。 普通ならここで、「まだ日本シリーズがあるので」といって、喜びを自重する監督が多い。しかし、梨田監督は違った。「今はこの優勝の喜びに選手とファンのみなさんとで浸りたい」。非常に素直なコメントだなと思った。そう言わせてしまうだけの幕切れではあったが。
☆ 歓喜の大阪ドームから1年後… 9回裏に逆転満塁ホームランを浴びてしまったオリックス・大久保投手はルーキーぴちゃー。抑えの切り札的存在とはいえ、優勝のかかった相手チームでに登板は少々荷が重かったのかな。大久保投手は昨年松下電器とエース格として、ここ大阪ドームで行われた社会人選手権大会で、見事優勝に輝いている。勝敗はつかなかったが2番手投手としてマウンドにも立った。その思い出の場所で1年後、こんな形でプロの洗礼を浴びるとは。きっとどんな投手が投げたって吸い込まれるようにボールがど真ん中に行くような試合展開ではあったが、「ばばぬき」で最後の最後でジョーカーを引いてしまったような何とも後味の悪い気分だろう。でも、ルーキーである彼にとってはかけがえのない経験になることを信じている。これから、緊迫した試合でも登板はいくらでもある。そのときに、この経験を思いだして、そして生かして欲しい。(松下電器時代のチームメイト・愛敬投手は今年もまたこここで優勝を手に入れた。元チームメイト同士でこうも明暗が分かれるとは…)
☆ ちっぽけな人たち こんな試合の元では、私たちの存在や自分の抱えている悩みがちっぽけに思えてしまったりするのだが、今日の試合を見て、さらにちっぽけな人たちを見つけた。 中継のアナウンサーと解説者である。 試合終了後、両者の間で見にくい「知ったかぶり対決」が繰り広げられたのだ。歓喜に湧く選手をよそに、「私が先ほど言いました通り近鉄は…」とか、「シーズン前から僕は感じていた‥」とか、あたかも自分が最初から近鉄が優勝するのがわかったいたよと言いたげな態度。解説者の存在にそれほど否定的ではない私だが、今回ばかりは「あんたらの自慢話なんてどうでもいいから、ちょっとは黙ってて!」と言いたくなった。確かに、野球の見方の一つに「予想屋的要素」はある。順位予想に始まり、ナイター中継のおかげで球場にもあちこちにいる解説者的観戦者、アマ野球選手を見て「この選手はプロで通用する、しない」とあれこれ評論するのもその類だ。しかし、他人がどんな予想をしようと何を思おうと世間は案外興味がないものである。今日の試合内容が内容だっただけにいつになく、そのちっぽけさが浮き彫りになっていた。
☆ 優勝、おめでとうございます。 大阪近鉄ファンのみなさん、優勝おめでとうございます。ひとえに12年といえど、みなさんにとっては歴史が変わるくらいの長い年月に感じられたのではないでしょうか。長い間下位に低迷した間もけなげに応援されていた方、また心を鬼にして球場に足を運ばなかった方、愛情表現は人それぞれだと思いますが、そんなみなさんから勇気をもらったように思います。私ももう少しひいきチームを応援してみようと思います。日本シリーズでの健闘も期待しています。なんたって、「ファンは10人目の野手」ですから。
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