
|
 |
2006年01月02日(月) ■ |
 |
冬の18切符の旅 〜紀伊半島と初球児編〜 |
 |
電車バカの旅2日目は、紀伊半島一周日帰り旅行。 朝6時過ぎに地元の駅を出、大阪で相方と合流し、環状線経由で和歌山まで出たあとは、海岸沿いを延々走り、三重の亀山へ出て、柘植経由で地元へ戻る。新宮での乗り換え接続にための2時間弱以外はすべて電車の中で過ごす鉄道マニアみたいな1日を過ごした。
朝早かったので、相方と合流早々の環状線で早くも爆睡。「ぐうぐう寝やがって…」と叱られる。睡眠中の行動には責任を持てませんので、あしからず。正月。さらに田舎。店は開いておらず、観光やみやげ購入どころか食料の仕入れでも苦戦。選択肢がなかった。夕飯は、多気駅で、電車待ちの間に駆け込んだ駅前のコンビニの肉まんですませた。店のおばちゃんが、買い物袋ごと豪快に電子レンジで“チン”した。カルチャーショックだった(食べてみると、しっとり感もあり、温かくおいしかった)。
新宮〜亀山間がヘビーだった。15:06に新宮を出て、終点の亀山に着いたのが20:25。ちょっと進んでは、「電車行き違いのため、20分ほど停車します」、またちょっと行けば「特急電車待ちのため、40分程(軽く言うなよ。40分は長いぞ)停車します」…。すっと行けば2時間程度の距離なのに、やたらめったら停まる。どっかの無人駅では、停まっている間に明るい空が夕焼けになり、暗くなって、一番星が出た。それくらい長い間停まっていた。でも、海が見える景色はやはりきれいで、ボックス席で足を伸ばし(よい子はやっちゃダメ)て、うつらうつらしながら電車の揺れに身を任せるのはやはり心地が良かった。 そんな道中、高校球児を見かけた。この時期は野球部の練習は休み。電車の中どころか、車窓から見えるグラウンドでもその姿を拝むことができないのが当然のことと思っていた。彼は、学生服に身を包み、停車中の電車に乗り、相方の横1人分ほどあけて座った。地元の高校らしき使い古された野球部バッグを足下におき、イヤフォンで音楽を聴きながら、『タッチ』を読んでいた。1巻だった。コミックサイズより一回りほど大きくて分厚い。最近よくある復刻版か。これと同じのを、以前見に行った高校のグラウンドでも、見かけた。ダンベルの横に無造作に置いてあったっけ。私はリアルタイムでコミックで読んだ世代。横にいる彼は、もしかしたらそのとき生まれてなかったかもしれない。そんな彼にタッチはどう映っているのだろう。窓からは、旅人をうならせる海が見える。彼にとっては、この海は日常で、『タッチ』1巻が非日常。いや、日常かな?
電車は本州最南端の駅『串本』に着いた。彼は『タッチ』1巻を直方体の野球部バッグに入れ、降りていった。「昼から練習なんかな?正月から練習するなんて熱心やなあ」と小さくなった彼の背中を見送りながら私が言うと、相方は「『タッチ』を部室に返しにいくだけちゃう?ほんで、また2巻を借りてくる」。…正月って、意外とヒマやもんね。
|
|