paranoia kiss
    

また、いらないことをしてしまった。
こうやって、あたしは大切な人を困らせてしまってる。
また失っていくのある。
連絡が取れなくなる。ということに非常に怯えつつ。

恋文のような手紙をびりびりと破る。
ひっそりこっそり2つの日付が入ったマグカップを仕舞う。
逆の立場だったら、
うんざりなことなのかもしれない。

眠っていても、2時間おきに起きなければいけない現実。
ぼやーっとした頭で考える間中、
雷が鳴り続ける。
夕焼けより朝焼けが好きなのに、
今日の朝焼けは期待できない。

---
学生時代から一人で飲みに行くのが好きだった。
年下の彼らは自分でお店を経営してて。
料理担当の彼は、いつもバーの片隅に
彼女を座らせてて。

彼女は左手にプラチナのきらきらするものをつけていた。
いつも、暗闇にかざしてて嬉しそうだった。

あたしは、全く反対側に座って、
ボトルキープしたら?って言われるほど、
大好きなベルモットのロゼを飲んでた。

家から店まで1時間もかかるのに、
なぜか居心地よくて。
終電が近づくと、店の下まで送ってくれた。
いつからか、彼女は店にこなくなり、
あたしと彼らの3人だけという時間が増えた。

彼は駅まで送ってくれて、
突然の想いをくれた。

何故あたしがいいのか?と訪ねたら、
オチツイテイルカラ。

1年アナタより余計に生きているぶん、
いらないものもついているよ。と言った。
ソレデモイイ。と。

後にコックになった彼とは、
夜しか会えない状態で。
いつも、3軒ほどはしごした状態で彼と会っていた。

イツ キスヲシテモ オサケノアジ。

バイクが好きだった彼は、
家まで送ってくれるようになった。
あの背中が大好きだった頃。
あたしは純粋に人を好きでいられたと思う。

人生で2度だけ綺麗と言われたことがある。
2回とも女性からだが。
そのうちの一人が彼の妹だった。

タバコト オサケガ ニアウヒト。

そんな褒め言葉が嬉しかった頃。

2006年11月11日(土)



My追加
Skin by yukie