paranoia kiss
    

君に数日のあれこれを話した。

彼女が彼に会う前に、届けたかったんだ。と。
彼女と彼の誕生日が入ったカップを。
お互いに交換して持っててくれたら素敵だよね。と。

あたしは一人から回りして、
彼女に気の早いクリスマスプレゼントにしようと思ってた。
彼女に2つのカップを送ろうとしていた。
片思いみたいな恋文を、彼女のカップに添えて。

女が女にラブレターもいいと思わない?なんて聞いてみた。
君に話しながら、何故だか泪が出てきて、
君は、あなたらしい計画だったね。と、けらけら笑った。
人の人生に立ち入っちゃいけないね。とお互いに笑う。

あたしも、自分の愚かさ加減に泣き笑いした。
これ、どうしよう。返品するしかないの?と聞くと、
何か、記念日でもこれから作れば?と、君が言った。

もう、そういうことはしちゃいけないんだね。
何も言わず、口を閉ざした貝になろう。

あたしは君の人生の何分の一かに立ち入ってしまった。
でも、今までの何十年かは知らないことばかり。

こういうときは、どうしたらいいんだろう。
過去まで自分のものにならない。
これから先。なんて夢見ていいのか。

あまりにも不確かであやふやしたものにすがっている。
確固たるもの。なんてない。
あまりにも根拠のないもので。

ただ、そんな毎日を重ねて時が過ぎるのを祈るだけ。





2006年11月12日(日)



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