paranoia kiss
    

結局、返品できなかった。
何か使用方法を考えてみる。
あっさりとゴミ箱につっこむ。

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今頃、君は彼女に何を話しているんだろう。

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君がぽつぽつと彼女のことを話す。
あたしは、すっかり役回りが変わってしまって、
聞き役になってしまってる。

そういえば、君と知り合った頃も
カウンターだったりソファーだったりで
いろんな話を聞いたっけ。
結局は、そういう風に繋がっているのかも知れない。

彼女はあたしがなりたかったような強い人で、
なぜだかあたしのほうが、無条件降伏したようだった。
お互いがこれで最後の人だと
左手の薬指に誓ったあの日。
確かに、お互いに最後なのかもしれない。
彼女とはあたしより昔に始まっていたのだから。

積み上げたものが壊れたと思った。
壊れたらまた積み上げたらいい。
時間はいくらでもある。

あたしには、もうあの人といたとき以上に
辛いことは起きないのだから。
君が言ったように、あたしには
もう目の前に壁はない。
花壇の柵のようなものなのだ。

だから、ぽーんと飛び越えられる。

2006年11月17日(金)



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