paranoia kiss
    

拍手を下さった方が2人。
小躍りして喜んでます。
ありがとう。

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あたしがお気に入りのグラスを
うっかりと君は割ってしまった。
今日がゴミの日でよかった。

形あるものはいつか壊れる。
だからこそ、形ないものに惹かれ、
また見えないから悩まされる。

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君が帰ってこないとわかったから、
一人でビールを飲んでいた。
たった今、お気に入りのペンを
落としてしまって欠片となる。

お気に入りを1日に2つ失うとは。
注文しようとしたら、
入荷待ちだそうな。
形あるものはお金を払えば、
また手に入る。

形ないものは手に入ったのか、
そうでないのかわからないからややこしい。

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彼があたしだけを想ってくれていると
あたしだけが思っていた頃。

仕事終わりに一人で飲んでいたバーで、店員が
今度、タカ。が来たら連絡してと
いう人がいるから今から呼ぶ。と言う。

あたしの前に現れた彼は
背が高く、いかにも女性にもてる感じだった。
あたしは信じられず、いつもこの店で
していたあれこれを思い出し、恥ずかしくなった。

今思い返しても、彼ほど飲める人はいなかった。
彼はガルフストリーム、あたしはピュアラブという
カクテルでいつもお決まりのダーツ。
コロナにライムを搾って、チェイサーにして、
スピリタスを飲むこともあった。

花火大会に行くと、彼のポケットから
プラチナの指輪が出てきて驚いた。
クリスマスは過ぎたというのに、
ある日突然、ラブリングをプレゼントされた。
そんな幸せが続くと思っていた。

ある日、部屋に行くと
見覚えのない犬の箸置きが。
そこから何も気づいてないフリをする日々が始まった。

旅行に行っても、彼はあたしと彼女に
同じおみやげを買ってきた。
ディズニーランドに一緒に行った3週間後に、
彼と彼女は同じ場所に出かけた。
休日出勤の朝に鳴る電話。

何も気づいてない鈍感な女を演じた。

あたしは突然、部屋の鍵を送った。
彼は今すぐ親に会わせて、
あたしと結婚すると約束するから。と言った。

彼女はお金を返済するために、
会社が終わったあと、バイトをしている。という。

アイツニハ イマハ オレガヒツヨウ。

やはり待てないあたしは、
すっぱり恋人をやめた。

今も彼は待っているんだろうか。
いつか戻るかもしれない。と
あやふやな答えをしたあたしを。

2006年11月19日(日)



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