paranoia kiss
    

君が洗濯機の下に
歯磨き粉のフタを落としてしまった。
去年、洗濯機を移動させたところなのに、
今度動かすのはいつになるだろう。

洗面所にはフタのない歯磨き粉。
どんどん硬くなっていく。
そして、歯磨き粉はフタがないと
硬くなることを初めて知る。

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電車通学だった僕は他校の人に想いを抱いた。
毎朝、同じ電車の同じ位置に立つ人。

ただ見ているだけの毎日だった。
学年を知って、受験の年にはじめて
駅で待ち伏せをした。

当時の僕の憧れのシャープペンシルを渡そうと。

そっけなく、でも驚いたようにありがとう。と言われた。
電話番号を書いた手紙を添えて。

ホワイトデーの日に電話が鳴って、
あわてて待ち合わせ場所に急いだ。

お返しに選曲された色々な歌手のテープをくれた。
そんな時間はないはずなのに。

きっちり浪人したとの報告を受けた。

週末FMからその中の1曲が流れてきて。
君にこの話をした。

君もそのテープを持っていた。
予想を裏切る趣味に僕は大層驚く。

2006年12月04日(月)



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