paranoia kiss
    

たった二人の時間に
君が携帯メールを気にするのを
僕は非常に気にする。

イブの夜が前倒しになって、
土曜日に僕と過ごすのと関係があるんだろう。

この時期は仕方ないさ。
お正月もあるしね。

僕は片目をつぶる。

---
ポテトサラダが食べたいという。
いつの間に得意料理にされたんだ。

誰だって同じ味になると思うけど。
ぶつぶつ言いながら、台所に立つ。

彼女のとはちょっと違う味になるのは、
マスタードを入れるから。

これだけは教えないよ。

---
すっきりと片付けた家の中を見回す。
視界の曇りが取れたね。

あ、めがねも拭かなくてはね。

すっきりしたから、
二人で街に出よう。

道行く人が振り返るほどの笑顔を携えて。

何もなくても
何も変わらなくても
笑顔でいるんだ。

---
君の携帯の着うたが変わっていた。
僕が初めて聞いた日、
ひさしぶりにたった一人のゆっくりとした時を過ごしていた。

そのことを君に話したのを
覚えていてくれたんだ。

真っ暗な部屋で、明け方や深夜に
興奮と感動で眠れなかった夜。
テレビの画面が目障りで壁にむけて、
その曲だけ延々と聴いていた。

あと少しだけ あと少しだけ 君を抱きしめさせてくれないか

君がその日のことを覚えていてくれるだけでいい。



2006年12月18日(月)



My追加
Skin by yukie