こんなに嫌悪しているっていうのに、
受け入れられないって思ってるのに、
腹の底から怒りが溢れてくるのに、
どうしてこんなに考えちゃうの？
あんな人に一抹の希望を、縋るような思いを、
見ようとしてるなんて。
『あたし自身が彼に甘い』
の一言では済まされない。
確かに、他人からの指摘で一気に見方が変わった部分はある。
だけど。
そう思う度、
「あくまでもそれは他人の意見なのよ」
「本人からの直接の答えじゃない」
っていう声が聞こえる。
怒りを覚える度、
「過去の、彼の言葉は何だったの？ 全部調子の良い嘘？」
「彼を信じようとした、信じたあたしは何なの？」
っていう声が聞こえる。
彼が何をしてたって関係ない。と思うすぐ裏で、
「今頃どんな仕事してるのかなあ？」
なんて
ぼんやりとでも考え、時に擁護してしまっている自分が嫌い。
時々、構わずに彼にこの思いの全てを暴露してしまいたくなる。
だけど。
少なくとも、あたしがこの未知の気持ちを持っている期間だけ、
彼にも同じような気持ちを味わわせたい。
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