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恋する研究所*
りう
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2005年05月16日(月)
恋愛ごっこ

昨日、元バイト先の友達や知り合いと久々の飲み会だった。
出掛ける前に突然泣いてしまい、遅刻してしまう。
本当は行かれないかもって思ったけど、こんな大きな飲みは久し振りで、
みんなと会いたかったから、何とか気持ちを持ち直した。

つい数ヶ月前まで一緒に働いてたみんな。
途中、何でかまた泣きそうになってしまったけど、こらえた。
それくらい楽しかった。

こうくんやもう一人の男友達の薬指に彼女とのリングがしてあった。
ちょっと、いや、かなり羨ましい。

気がついたら、かなり長い時間居酒屋にいて、一次会は「とりあえず」解散。
お酒の弱い私は、それでも甘いカクテル一杯だけ。
酔ってないと思っていた。
いつものように、心拍数が急激に上がることもなかったし。
平然としていられたから。
それに、明日は仕事だから寝坊はできない。
当然、2次会もパス。

みんなで駅に向かう。
その道、私は彼の手を取った。
何でかは、覚えていない。
多分、ほろ酔いで寂しさが倍増していて、
それでいつも手繋いだりしてくれる優しい彼の手を握ったんだと思う。
いつの間にか、ぎゅっと手を握っていた。
リングをしてる友達に「そこ、おかしい!」とか言われながら。

彼…名前どうしようかな。
本名はだめだから、シンくんにしよう。
こうくんや私と同じバイト先の子で、年は一個下、学年は二つ下。
特に仲が良いうちの一人。
超優しいのに、彼女はいない。
前から、手を繋いだりしんどい時に凭れかからせてくれたヒト。

駅の改札まで来て、私ともう一人の知り合いは電車で帰るはずで。
シンくんや、他の一緒に来た友達とかは2次会で移動で。
なのに、ずっと私もシンくんも手を繋いだまま。
時々、腰に手を回されたりして、さすがにびっくりした。
そんなことする気持ち、ないと思ってた。

周りの他の友達にはやしたてられる。
「いーじゃん」って反撃。
ふざけて写メも撮られたけど、私はずっとシンくんの背中に隠れていた。
その間、ずっとシンくんは「大丈夫」って言うみたいに強く手を握っていてくれて。
心強いと思った。

次の電車が来るまであと15分。その次は終電。
けど、シンくんは2次会に行かなきゃいけなくて。
それは分かってる。
「早く来いよ! どうすんだよ!」って呼ばれてたけど、
「一緒に待ってくれるよね?」って言って離さなかった私は卑怯。
「先行ってて」と言ってくれたシンくん。
こっそり、私には「待たせておけばいいんですよ」って。


「寒い」って言うと、今度はぎゅって抱っこしてくれた。
改札の目の前。通路の真ん中で。
さすがにそれはマズイと思って、端に移動。
シンくんは酒豪なだけに、今日もめいっぱい飲んでいた。
だから、酔ってるだけ。

元彼の話をした。
それで、寂しいってことも。
泣きそうになったけど、今はシンくんが抱っこしてくれてるから平気。
時々、その抱く力強さにびっくりする。
マズイって頭では思うけど、行動に結びついていかない。
うなだれた私の首に、たまに彼の口唇らしきものがあたる。
偶然でも、慰めてくれてるのかなあ?

「今、好きな子は?」

いつも彼のことを気にかけてた。
こうくんを好きだった頃から。
けど、いつも「誰もいない」ばっかりで。

「今、同じサークルの後輩で気になる子が出来ちゃって…」

あー…そっかそっか。
不安が的中した。

それでも、何故か身体を離そうとはならなかった。


シンくんは年上好きだって自ら言って憚らない人だ。
甘えたいって。
私をお姉ちゃんみたいだと言う。
年上だと思えないって。
私もシンくんを、年下だって分かってるけど、あまり年の差を感じてない。
まぁ、たった一つ違い、というのもあるだろうけど。

「じゃああたしと付き合いなよ」

笑いながら、冗談の本気で言った。

「甘えて、甘えられて、がいいなぁ」

「それも良いかもしんない」

「だって、こうしてるの気持ち良いもん」

「うん」


何度も背中を撫でてくれて、
寒いのを和らげようとしてくれて、
心地良い、
幸せって思った。


次の電車が来る時間。
だけど、お互いに離す気配はない。終電は20分後。
私:「どうする? 行かないとマズイんじゃない?」
シンくん:「どっちでもいいよ」
私:「こうくんさあ、絶対怒ってるよね」
笑って、話しながら、ずっとずっと抱っこ。

私:「このままどっか行きたいなぁ」
シンくん:「それは…無理かな」
私:「えー」
シンくん:「今度また、二人でどっか行きましょうか」

前に、成り行きで二人で映画を見に行ったことがあった。
私が一番、彼を意識してた時期でもある。
けど、結果は上手くいかなかった。
仲が疎遠にはならなかったけど、そのことについては話題に出すのを避けてた。

今度は、上手くいくかな。

「私、土日しか休みないよ。シンくん、サークルでしょ?」

「日曜は空いてます」

「サッカーは?」

「あんなの、自由参加じゃん。行っても行かなくてもいいよ」

「来週の日曜は?」

「来週は…サークルです」

「じゃあ再来週」

「空いてます」

「じゃあ再来週ね」

それでも。平日は会えないから。
2週間は会えないことになる。
その間に彼は、何回後輩のコと会って、話をするんだろう?


「座りたい」って言ったのは私。
そしたら
「じゃあ下(ホーム)行きましょうか」
二人で改札をくぐる。
手を繋いで、寒い寒い、ホームへ。
一番奥のベンチの端っこに二人で座った。

座って、寒いからまた自然と身体をくっ付けた。
私は元彼との最初の頃を話した。
そしたら
「それ付き合ってないですよ。男の都合じゃん」
って。
それ、別の人から何度も聞いた。

「ペアリングしたい」

「指輪好きなの?」

「元彼にしたいって話したけど、でも向こうはしたくなくてね。流れちゃったから。
今日、こうくんとかがしてたでしょ? うらやましい…!」

「元彼より俺のこと好きになれる?」

急に囁くような声。

「それはシンくん次第。でも、一緒に映画見に行った時、シンくんのこと好きだったよ?」

「…」

「もう遅い?」

そこで目の前にあった、彼の耳たぶをちょろっと舐めた。

「遅いかなぁ…」

「けど、その時はこうくんが好きだったからね。
あの日、手でも繋いでくれたら一気にシンくんへいってたよ」

「だって、びびりますもん」


「明日、朝何時?」

「んー。◎時の××行きに乗れば平気」

「あー。俺のほうが早いね」

「だから△時に起きれば間に合う」

「一緒だ…(笑)」

「じゃあ起こして!」

「いいですよ。けど、明日行くかどうか…」(これから朝まで二次会)

「じゃあそしたら私が起こすよ」

そういえば、前も一緒に学校行こうって言ってたことがあったっけ。
同じ電車に乗ってることが分かって。
でも、一度も実現しなかった。

反対側のホームに電車が着いた。
たくさんの人が降りる。
向こうからこちらは丸見えで。

「視線が痛い…」

「気にしない」

「電車の中とかで平気でいちゃつく人?」

「それはさすがに嫌ですけど。でも今は気にしない」

恥ずかしいから、ずっと顔を下に向けて。顔を見られないように。

そしたら「可愛い」だって。


結局、私は彼を地元の駅まで連れてって、家から私の車で2次会のとこまで送ることになった。
まだ、一緒にいられる。

電車の中で、友達から電話。
きっと怒ってるだろうって、私が出るって言ったんだけど「良いですよ」の一点張り。
「平気だから先行ってて」って言ってた。

帰り道は手を繋いで。
赤信号で止まった時は、寒いって震える私の身体をずっと撫でてくれてた。

「優しいのも考えものなのかもなあ」

今、シンくんはサークルの後輩と私とでゆれてるのかなあ。
優しいからこういう私の我儘に付き合ってくれてるのを、知ってる。
けど、好きじゃないならこうしてほしくないとも思う。
だって、惹かれて、戻れなくなるから。
一人になるのが怖くて、寂しいから。
それで、毎日泣いてるくらいなんだから。

サークルの後輩とは、話のウマが合うという感じらしい。
前に友達とそのコの家まで行った話や。
その友達も同じ後輩が好きらしくて、それなら俺はいいかなって。
愛情より、友情だって。

「元彼のこと、忘れられそう?」

「それはシンくん次第かなあ」

「俺次第?!」


ずっと、この時間が続けばいいって思ってる。
こんな気持ち、ハルくんと一緒にいた時も思ったことなかった。

そんなの、都合いい、か。


家に着いて、車で送ってって。(信号が全部赤で止まればいい)
ちょっと他のみんなに顔出すつもりで一緒に行った。
わざと、シンくんの隣じゃないとこに座った。

それでもすぐ。

シンくんが一服して、席を立って、私を見ながら廊下へ出てった。
「おいで」ってことらしい。

「もう帰った方が良いですよ。明日仕事でしょ?」

トイレの前の広めの廊下で。

「うん。帰るけど…」

何か、何か約束が欲しい私。
またぎゅっと抱っこをくれるシンくん。
トイレを利用する人が見てる。

「じゃあー…じゃあ…キスして」

「ん?!」

「嘘。どうしよっかなー…」

「とりあえず。明日の方が大事だから」

「…うん」

私達を見た、怖い、変なオジサンが壁をグーで殴って、八つ当たりしてきた。
怖い怖い。


「じゃあ車まで送って。それくらいいいでしょ?」

シンくんに駐車場まで送らせて。

でも、なかなか離れたがらない私に、早く乗ってって急かす。

「ホント、優しいと人傷つけますね」

「でもそういうとこ好きだよ」

しぶしぶ、車に乗り込んで。
窓を開けて、手を繋いで。

「(手に)キスしていい?」

「でも、俺、迷ってますよ」

「じゃあいいわ」


バックミラー越しに彼を見たら、私が見えなくなるまで外にいてくれた。

それから家に着いて。寝る仕度をして。





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