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2005年06月18日(土)
「Shall we Dance?」は65点

「Shall we Dance?」
■監督 ピーター・チェルソム
■原作 周防正行「Shall we ダンス?」
■キャスト リチャード・ギア、ジェニファー・ロペス、スーザン・サランドン、スタンリー・トゥッチ、リサ・アン・ウォルター、アニタ・ジレット、リチャード・ジェンキンス、ボビー・カナヴィル、オマー・ミラー

心震える作品と、まあまあかなの作品との違いはどこにあるのだろう。私が「原作」の「Shall we ダンス?」を見たのは96年2月3日、公開初日に近い日だったと思う。その作品についての感想は珍しく長々と書いてあった。「最初に『物語せよといえ。我汝の耳を魅せる話をせむ』というシェイクスピアの言葉が出る。(略)結局周防監督の手の内にはまってしまった。」かなり気に入ったみたいである。
ハリウッド版は、かなり忠実に日本版をリメイクしている。トイレで、リチャード・ギアとスタンリー・トゥッチが踊るところなんて、落ちが分かっているのに笑ってしまった。しかし何かが違うのである。先の原作に対する私の感想はこういうことも書いてある。「マイホームを建てた後の心の空白も理解できる。渡辺えり子が重労働をしながらダンスに夢中になり、役所広司が次第にのめりこみ、知らず知らずのうちにホームでタップを踊りだすのに共感したりする。」ハリウッド版も、これらのエピソードはある。しかし、細かいところで描きこみが足りないのである。ハリウッド版は『幸せすぎるんだけど何か足りない』になっていて、生活の苦労は抜け落ちている。役所は駅まで自転車で通っている。ダンスを習うことでその自転車を踏むペダルが軽くなる場面がある。ハリウッド版の弁護士の豪華な家に私は共感できない。あるいは、リサ・アン・ウォルターは確かに力演であったが、やはり重労働の中身をきちんと見せてほしかった。あれではさらりと描きすぎ。またホームのタップは『知らず知らずのうちに』というように演出しなくちゃ、ジェニファー・ロペスが感動しないでしょ。感動は細部に宿るのである。
(05.05.02記入)