眠れなくて、
外にでも出てみようかと思った。
思った
ダケ
なのに。
突然の出来事は降ってくる。
私が唯一持つ免許。
お兄ちゃんに2万円で譲ってもらった
原チャリ。
2つを駆使して気分転換。
真っ黒な、跨るタイプで
バイクだけ見たらただのヤンキー(泣)
肌に氷柱が突き刺さるような風に
目を細めながら、
感覚を奪おうとする風に
手を服の中に擁護しながら、
走る走る走る。
スロットルは全開。
ひたすら走る。
広くて直線の道を選んで。
メーターは完全に60を振り切ったまま。
見たこともない道を右に曲がって、
キョロキョロしたりして。
あ〜スッキリした。
…これだけじゃ終わらない。
こんなんじゃ、
寂しさはドコにも去ってくれない。
…温かいものでも買おうかな。
近所のコンビニに入る。
ああ、いつものおじさんだ。
一昨年くらいの夏から
普通にお酒を買い始めていたのに
急に
ごめんねぇ。最近厳しくてお酒売れないんだ。
彼はやさしく言ったつもりかも知れないが、
私には逆効果で
冷たく聞こえた。
奥で商品を陳列する、店長であろう彼。
新作の靴なんか見ながら
雑誌の立ち読みをする私。
一通り目を通して
店内を廻る。
結局めぼしい物はなくて
ホットのなっちゃんを手に取り
レジへ。
すいません
後ろにいる彼に前を向きながら声を掛ける。
目に付いたあんまんを頼む。
コレ、あげます。
一瞬あげますの意味が解らなかった。
揚げますと聞こえた。
え?
コレ水分吸っちゃってるんで
ちょっと売れないから
あげるよ。
食べないんですか?
あんまんって定番でしょ?
毎日見てるとお腹減っても
食べる気しないんだよねー(笑)
(笑)
ついでにコッチのもあげるよ。
はい。
でもなっちゃんのお金はもらうからね、
え〜(笑)
この、
かっこの中の 笑 に
あんまんよりも温かい空気が流れた。
差し当たりのない会話をして
店をでた。
次来るときは
こんにちは
くらい言うかも知れない。
やられたなぁ。
どうしようもない寂しさは
このおっちゃんのせいで
少し埋まってしまったみたい。
ちっ
My追加
|