(仮)日記
何かしらの感想と更新履歴。



2009年07月04日(土) MW(後日追加)





色々と中途半端だなあというのが正直な感想。

手塚治虫の問題作と銘打たれ、前振りにテレビで第0章までやったわりにいまいちでした。まあ、手塚作品て問題作いっぱいあるような気がするけどね。アドルフに告ぐとか火の鳥とか問題作のひとつじゃない?
ちらしにはアクションと書いてあったんだけどなあ…その割りに、あったのは刑事役の石橋凌のカーアクションくらいで、しかも車が吹っ飛ばないし燃え上がらないし大破されないし(この辺はハリウッドの印象強いせい。あれと比べちゃダメだ)

衝撃は薄いですね。
むしろ、テレビドラマの第0章の方がまとまってて、面白かった。

あ、役者さんは悪くなかったですよ。きっと脚本が悪かったんだと思う。
だって、山田孝之だし。
玉木も、キレた結城をよく演ってたと思うんだけど。見所っていったらそこくらいしかないんじゃないかなー
あ、頭から血をかぶって血まみれの山田くんは素敵でした(え、そこ)多少エグいので苦手な人は眼を逸らしておきましょう。

いろいろと不備があると思うんだけど、取り敢えず、主人公の結城と賀来の関係性があまりぱっとしない。
賀来が神父である設定が活かしきれてない。
頭がいい筈の結城の行動が穴だらけのように思える。

丁度携帯でヤフーニュースを見た時にこのMWについてちょこっと触れてあったんだけど。
原作では、結城と賀来の同性愛描写があったらしいですね。これを見て、漸く納得しました。

だから、あんな微妙なシーンがあったんだ、と。

結城が凶行に走る原因となった沖之真船島での事件で、結城に助けられた賀来が結城に対して罪悪感を持っているのはわかる。自分を助けてくれた代わりに、島民が惨殺されることになったMWという毒ガスだかなんだかを結城が吸ってしまい、以来後遺症に悩まされ、余命も短い。自分のせいだという負い目があるからこそ賀来は結城に逆らえない。
このへんはよくわかるんですよ。本編でもそう言ってたから。
でもそれだけだとあのシーンのあのやりとりはおかしいだろ、と考えてたら。
原作にはあったけど、映画では削ったそうですね。ちょっと観てみたかったんだけどなあ山田孝之がそういうシーンをどう演るのか。

別に削るのはいいんですよ、原作全部を忠実に作ろうとしたら二時間ちょいくらいで終わらない。コストもかかる。
でも、削るなら削るで、筋の通った話にしてほしいんだよなあと思っちゃうのが観客で。

この映画の原作は読んだことはないし、知らない。何にも先入観のない状態で観に行って、あれ?って思う映画はたまにあるけどさ。
削るなら削るで、結城と賀来の関係ももっとはっきりしたものに変えればよかったのにと思わないでもないよこれ。まだ、事件で唯一逃げ出して生き残った二人、その後を一緒に過ごしてきて深まった友情から、賀来は結城を止めようとするっていうのなら理解できたのに。

原作の結城と賀来の関係をちょっとだけ残すなんていうことをするから中途半端になったんじゃないかな。

賀来のスタンスが読めないんですね。おまえは結城に対してどうしたいんだって。
結城は、本編から引用すると「モンスター」なので、賀来に対する態度が一貫してなくても別にまあそこまで重要じゃないような気がする。あ、でも、最終的に賀来を見捨てたくせに、島で崖から落ちた賀来をちゃんと回収してきてるあたりはちょっと違和感あったんだよね。その後、船で仲違いして、未練なく捨てたから。
自分の目的の邪魔になるならおまえは必要ないってところなんだろうけど。

根底に二人のそういう関係があったから、賀来は結城から離れられないし、結城は賀来に僅かながらも情を抱いていたってことなのかと。
命を助けてもらったっていうだけで、あの賀来が結城の犯罪の片棒を担ぐような真似はしないんじゃないかなと思うんですよ。仮にも神父だし、友人を救いたいっていう意思もあっただろうし。
どこか賀来が弱いなあと気になってたんだよねー。結城を止めたいけど自分では止められない。だからって冷たく切って捨てられない。

でも最後は自分が助かりたいが為に、賀来はMWを持って海に飛び込んだよなと私は思ったんだけど。
結城の犯罪を止めるためだけじゃなく。
結城は自分の意思で罪を犯し、賀来は救われたくて仕方なかったって感じ。

その結城も、自分の命はあと少ししかもたないからっていう理由だけで、完璧には遠い犯罪計画を立てるかなあ…?結構行き当たりばったりな感じがする。あれか、自分を追ってきた刑事さんの勘が鋭すぎたんですか。いやでも、人知れずホテルを出て日本に戻らなきゃいけないのに、上下白の衣装は目立つよ逆に。そして案外うっかりさんだよな結城。

石橋凌さんを見ると、キル・ビルとかローグ・アサシンとか、そういうB級映画のイメージが強くて嫌です。
しかも、結城を追う刑事役なので、出番が多いです。

全ての黒幕らしい望月という国会議員の秘書役を鶴見さんが演ってたのは楽しかったです。この人、スーツ似合うよなあ。性格悪そうな役似合うよなあ。



結論。
山田孝之の出番が少なくて残念だったよ。





その後、パンフレットを読みました。インタビューも読みました。

解説読んで初めて理解しましたよ。そうか、賀来は結城を愛していたんですね、と。
解説読まないとわからないってどうなんだろうと思わないでもないですが。あれですか、私の洞察力が足りないとかいう話ですかすみません。

賀来は結城が好きで、好きだからこそ結城を止めたいけれどそれも出来ず、好きだからこそ結城の頼みを聞いて犯罪に手を貸してしまうんだそうです。
そういわれれば、賀来の不可解な行動に合点がいきました。あの視線もそういう意味合いが込められていたんですね。

解説、インタビューにて。
賀来の視線を追っていくと結城に辿り着くとありました。
賀来は結城が好きなのに、結城はMWしか見ていない。そんな三角関係なのだそうで、この設定を知っていてこそ、最後の賀来の選択が生きてくるみたいです。
結城が執着しているMWと共に海に飛び込んだ賀来は、結城の犯罪を止めることと同時に、結城の執着の矛先も一緒に奪っている。
とまあ、一応複雑な背景があったんだそうな。

島でヘリから狙撃された場面で、新聞記者役の石田ゆり子を庇わずに走り去っていく賀来は、自分が囮になって敵の目を自分に向けようとしているとばかり思っていたんですが、実際は、賀来の守りたいのは結城だけなので、ぽっとでてきた新聞記者はたとえ女性であろうと守らない、んだそうです。

さっぱり気付きませんでしたよ(ハハハ…)

ちなみに、原作のMW。
賀来は体格のいいおっさんで、結城は美少年です。
玉木と山田なのでてっきり、犯罪者結城(玉木)×苦悩する神父(山田)なんだとばかり思っていましたが。
…逆の可能性もあるということですね







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