早い話が、松田龍平見たさだったんですけどね。
映画のためのオリジナルキャラクター、新庄を演じていました。労働者たちのリーダーとなる人間です。 原作を読んでいないので、新庄は普通に原作に出ているものだと思いました。ということは、原作の労働者たちはリーダーのいない状態で雇用主に逆らうことを決めて立ち向かったってわけなんですよね?
新庄は、どこか達観してて、物事を斜めから見ていて、頭の良く回るタイプだなあと。松田龍平が演るにはぴったりの役どころだと思いました。 人を纏めることの出来る、賢い人間のわりに、何かに失敗して蟹工船に乗る羽目になったんでしょうねえ。何をして底辺まで落ちたのか、そこが気になるところ。
その労働者たちを虐げる浅川監督を、あの西島秀俊が演じていたのにはびっくりしましたけどね。この役者さん、何を観ても、ヘタレか、いい人か、優柔不断そうな優しげな男ばっかりだったので、お、これは新規開拓かとちょっと楽しみでしたね。 今までのイメージとはかけ離れた役というのは、役者にとってはやりがいもあるし、逆にイメージを壊すということで失敗すると目も当てられない結果になるんでしょうが。
良かったですよ、西島の浅川。 役作りの為に左目に縦に走った傷があるんだけど、それもまた浅川の恐さを滲ませているというか。あの傷、戦争でできたとかそういうことなのかな。 力が正義だと信じきっているようなキャラクターですね。 浅川監督の容赦のなさが素晴らしかったです。杖で労働者を力いっぱい殴るんだけど、画面に映っていない場面は床とか別のものを叩いているのかなあと思ったりはしたけどね。 髭がなかなか(そこ?)
労働者の中にTKOが混じってて、木下が登場した瞬間、笑うしかなかったです。そして、相方も出ていたんですが、結局最後まで気付きませんでした。木下に比べて木本って印象弱くって。
あと、新庄が行方不明になっている間に労働者たちを奮起させるに一役を買った少年役、柄本時生。この子が、顔は何気に印象深いのに、カツゼツが悪くて、折角の長台詞、しかも重要なシーンだっていうのに、台詞の悉くが聞こえづらくて聞こえづらくて。はっきり言って、半分くらい何を言っているのかわからない。ので、自分で補填ですよ。興奮して、怒鳴って、船から飛び降り自殺を図るっていう流れに続くんだけど、台詞が聞こえないのでそれほど衝撃もなく。 この役、大事なキャラなのに。
手塚とおるの登場は、脱力しました。 コサックダンスにも驚きました。 でも、踊っている労働者たちは楽しそうだった。基本的に画面に人が一杯ひしめき合っている状況での撮影だから、統率するには大変だったんじゃないかなと思わないでもない。
父親役で大杉漣さんが現れたときには喜びました。 けれど、森本レオさんが出てきたのには気付けませんでした残念。
延々、カニが出てきます。蟹工船なので当たり前なんですが、暫く観ているとちょっと嫌になります。
自殺を図ったり、ホントに首つってる奴がいたり、逃げたり、精神的に嫌な内容ですよね。最終的には皆で立ち向かうというのはわかっているけれど、報われないんじゃないかなあと思ってしまう辺り、夢のない奴ですみません。
結論。 結局浅川に撃ち殺された新庄の、死に様の血の吐き具合は素敵だったと思う。
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