2003年07月16日(水) |
これが【突発型の破たん】です |
【ごあいさつ・・】
日頃は弊所ホームページをご愛顧いただき、 ありがとうございます。
お蔭をもちまして、晋陽FP事務所は 開設3周年を迎えることができました。 んー、特別な感慨は ありません(笑)
振り返るには 短すぎる時間と思うからです。
今後も「これは○○であるべきだ」 という 固定概念 に囚われず、
お客さまが真に求める『サービス提供』を目指して、 大胆&繊細に 自己改革 を進めてまいります。
10人の方すべてから好かれることを求めず、 10人のうち1人の方に愛される方を選ぶ・・、
そんな気持ちで このホームページを育てていきたいと思います。
というわけで(話ががらりと変わるのですが)
昨日、店頭市場に上場している 日本コーリン が 民事再生手続き開始を東京地裁に申し立てました。 ↓ 実質上の『経営破たん』です。
日本コーリンの株価は 昨日 553円 となりました。
前日から100円安となっています。 (値幅制限 があるため、これがストップ安です)
昨日午後4時ごろ、 店頭市場(ジャスダック)のHPを覗いてみましたら、
日本コーリン(株)株式(店頭管理銘柄・コード:6872)に係る 平成15年7月16日(水)の制限値幅については、 下記のとおりといたします。
基準価格(参考):553円 制限値幅 :1 円 〜 653円
(参考)「店頭売買有価証券の売買その他の取引に関する規則」に 関する細則別表3 参照
と記載されていました。
上記の 制限値幅 :1 円 〜 653円 は いったい何を意味するのでしょうか?
● 経営破たんした会社の株価は 限りなく1円 に近づく、ということです。
ここでは『登録取消し』や『店頭管理銘柄』の 詳しいご説明はいたしません。 (それはわたしの役割ではない、と考えるからです)
わたしの役割は、ひとつの企業のみを保有する 「その潜在リスク」の大きさをお伝えすることです。
確か 2001年11月の 「大成火災海上」の破たん時にも 日記に書いたと思いますが、
この種の“突発型破たん”は時折起こります。
では、
< 株価 が反応しないうちに 企業破たん が起こるとは、どういうことなのでしょうか? >
それは、一般的な情報開示の裏に隠されている ビジネスリスク・ファイナンシャルリスク が 顕在化する(発生する)ということなのです。
日本コーリンは今年の5月に、 在庫処理に伴う特別損失計上などで
2003年11月期の業績予想を、 従来の黒字から大幅な赤字予想に修正していました。
以下「日経ネット」からの引用ですが、
その後の財務の精査でリース関係での引当金を 積み増さざるを得ないことが判明した。
と記されています。
この その後の財務の精査で、 というのがクセモノで、
中間決算の監査を行っていた監査法人が 「これではダメです」と宣言したのだと思います。
したがって、債務超過 → 自力再建を断念 ということになったのです。
日本コーリンの中間決算は5月です。
5月で会計を締めて、 ちょうど監査が大詰めを迎えていたのでしょう。
そうです。
● 「その会社の決算を承認するかどうか」という 監査法人との折衝の時期が、 企業破たんが発生する確率が高いのです。
私たちは 日本コーリン の一件で、
「一投資家 が知り得る 個々の企業の情報 には限界があるのだ」
ということを学ばなければなりません。
公表されている情報と云えども (例えば、財務諸表ですが)
毎日毎日 更新して 開示されているわけではないですよね。
さて、先ほどお話した
個別企業の ビジネスリスク・ ファイナンシャルリスク ですが、
これらは【非システマティック・リスク】と呼ばれ、
● その会社に特有のリスクであり、 将来のリターンに貢献しない種類のリスクです。
私たちが資産運用を行う際には、
如何にして引き受ける 『リスクの総量』を抑えるかに苦心しますが、
資産運用自体を システマティック(合理的)に捉えるなら、
将来のリターンに貢献しない その会社固有のリスクなんて 引き受けるべきではないのです。
えっ、どういうこと?
● (つまり)株式市場という 『いちば』そのものに投資すべき、ということ。
わたしは投資の一手法として 個別株式 を保有することを否定しません。
(現に、わたしのお客様に 「ポケット・マネー枠」を設定することで、 個別株式を保有することをご提案したりもします)
また、 投資のエッセンスを理解するうえで、
個別企業の詳細(株式のしくみ)を 把握しておくことは必須です。
しかし、資産形成という 本来の目的に立ち返れば、
● 方法論(スタイル)決定 を シビアに行う必要があるということなのです。
もしあなたが「個別株式」を 用いて投資を行うのなら、
最低20企業 に 分散投資する必要があります。
できるだけ長期のチャートを見ながら、 値動きが異なる度合いの大きい企業を 組み合わせることです。
ただし「日本株式」のみで投資を行うのなら、 日本という国の カントリー・リスク を 一身に背負うことになります。
世界的に分散投資を行うなら、 100社以上の個別株式が 必要になってくるでしょう。
ということは・・(結局)、 効率的な分散投資を行うためには、
投資信託 という『道具』の力を 借りなければならない、 ということなのです。
|