コラム 金財茶房 〜 投資のゴマはこう開け!〜


2004年06月08日(火) ファイナンシャルプランニング序章 その9)


こんにちは、カン・チュンド です。

私たちは資本主義の世の中に生きていますから、
サービス提供者は、自らの商品・サービスを

「大きく仕立て上げる」クセがある
ということを覚えておく必要があります。

(特に、資産運用業界で 顕著 です 笑)

具体例 を挙げてみましょう。


変額年金保険(投資型年金)という 商品 があります。

変額年金保険には
「保険」という名前が付いていますが、

(実体は)ほとんど
投資信託((つまり、運用商品)です。

より正確に申し上げますと、

生命保険という 箱 の中に、
複数の 投資信託 が
詰まったものが 変額年金 なのです。

(生命保険という フタ を開けると、
中身は 投資信託そのもの ということ・・)


< 少し硬い説明では >

変額年金 とは、

複数の投資信託(選択できます)に

・ 若干の「保障機能」が付き、
・「年金」のカタチで 自身の積立金 を
  受け取れる機能 を備えている

商品 なのです。


(ここからは物語です・・)

今年40歳の鈴木さんは
メインバンクの A銀行 が勧める
変額年金のパンフレットを手にしました。

「不安定な老後のために確かな支えを・・、か」

鈴木さんは
この変額年金を買うことにします。

(えっ、もう決めたの?)

この変額年金、はじめに5%程度の
コミッション(手数料)がかかります。

これは鈴木さんの
払い込み保険料(= 実は積立金)に対して
5%程度、という意味です。

実はこのコミッション、
鈴木さんが 直接支払うものではありません。

この変額年金を作っている B生命保険 が、
A銀行に対して支払う 手数料(コミッション)なのです。

「おっ、また私どもの変額年金保険を売ってくれましたね!」

と B生命保険さん は言います。


A銀行にとってはこの 5% のコミッション(手数料)が
「よーし、がんばって売るぞ!」という
インセンティブになります。


さて、この 5% の手数料ですが、
変額年金という商品の コスト として
皆さんが負担する
「保険関連の諸費用」(年率 %)に上乗せされます。

(わたしが以前お話した通り、
「手数料の取り方」に長けているのです・・)


鈴木さんは出された麦茶を飲みながら、
「保険関連諸費用」年率1.5% という数字を
ちらっと眺めました。

「これはこの商品の 保障機能 に対するコストです・・」

と担当者の人は言っています。


そして鈴木さんは、
アクティブ・ファンドを中心に
3つの 投資信託 を選択しました。

最後に
100万円の保険料(= 積立金)を支払います。

あとは 特別勘定 によって運用を行うのです。

(当然、積立金の評価額 は
 上がったり下がったりします・・)


鈴木さんの場合、
選んだ投資信託の 信託報酬

( = 継続的にかかってくるコスト)は、
平均すると 約1.4% でした。


< ここで 問題 です >

鈴木さんはこの 変額年金 という商品を
保有しているだけで、

どれくらいのコストを毎年、
継続的に 負担されるのでしょうか?


◆ なんと、積立金の時価 に対して
(毎年)1.5% プラス 1.4% = 2.9% です。

皆さん、どう思われますか?


鈴木さんの場合、
選択した3つの投資信託が コンスタント に
2.9% の収益を上げてくれないと、

積立金(元本)は目減りしてしまう!
ということなのです。

ふー(ため息・・)


変額年金保険 には、

・早期解約控除 と呼ばれる
 商品提供者の勝手な論理に基づいた
ペナルティー料が存在する

(原因は、あの5%のコミッション・・)


・運用会社、金融資産、運用スタイル、
 国・地域の 分散 がしにくい

などの デメリット があるのですが、
(そもそも)コスト割合 が高すぎる金融商品なのです。


「大きく仕立て上げている」商品の 典型 ですね(笑)


また、鈴木さんはA銀行の人から、

「この変額年金 は、保障の機能 と
 運用の機能 を併せ持った商品です!」

という説明を受けましたが、

保障の機能 と 運用の機能 は
分けて考えた方がすっきりしますし、
コスト的にも安くすみます。


ん?(考えてみますと・・)

上記のセールストークは
隆盛を誇った生命保険会社の人が、

「この保険は 貯蓄の機能 と 保障の機能 を併せ持った商品です!」

と言っていた 手法 とまったく同じですね(笑)


皆さん、くれぐれも
シンプルさ & 合理的思考 で行きましょうね・・。





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