コラム 金財茶房 〜 投資のゴマはこう開け!〜


2005年02月23日(水) 仕組みを作る人が儲かるしくみ?


こんにちは、カン・チュンド です。

人はお金がないから
「運用したい!」と思うのでしょうか?

それとも、

お金が目の前に溢れているから
「運用しないと!」と思うのでしょうか?

例えば生命保険会社というところは、
人の「生き死に」に関するリスクを引き受けます。

事故があった場合は、

何千・何万人の方からいただいた掛金を元に、
はじめて「商品」(= 保険金)を納品します。

保険に入る私たちとしては、
わずかな掛金で「万が一の保障」が買えるわけですから、

便利な道具 と云えるでしょう。


ところで、保険の概念 が広がってくると、
保険に加入する人(掛金を払う人)が急増します。

(今の中国 がよい例です・・)

生命保険会社には、
たくさんの小粒なお金が山のように積み上がっていきます。

この時、お金が目の前に溢れているから
「運用しないと!」と 保険会社の方は思うのでしょうか?

(多分、思うのでしょうね)

保険会社は(半ば必然的に)
リスク裁断業 から 資産運用業 に変貌していくのです。

人からもらったお金を「資産運用する」ことで殖やし、
利益 を上げることができれば、

「おお、これも立派な仕事じゃないか!」と思い始めます。


ただ「万が一の保障」のために
わずかな掛金 を集めているだけでは、

運用できる「元手」はしれていますよね。

そこで保険会社は考えました。

「保障」を売るだけでなく、
貯蓄にもなる「保険」を作って、それを売ればいいのだ。

それが 終身保険 です。


終身保険 とは(同じ1000万円の保障でも)
「掛金の一部を積立てる」保険です。

正確にいえば、保障のしくみの中に一部
「貯蓄の部分」が備わっているのです。

つまり、私たちにとってはその分、
掛金(保険料)が高くなる ということ・・。

一方、保険会社にとってはその分、
より多くの掛金が集められる、というわけです。

人からもらったお金を「運用する」だけでなく、
人に返すべきお金も「運用していく」と 引き受けるリスクの量は

かなり大きくなります。
(が、期待収益の大きさも大きくなる・・)


わたしは今、「人に返すべきお金」と言いましたが、
終身保険の場合、皆さんは掛金の一部を 保険会社 に

【貸して】いることになるのです(ここ、重要!)

この、保険の「貯蓄部分」は、
要は 銀行 に預金するのと同じことです。

銀行預金 では、
皆さんは 銀行 にお金を【貸して】います。

銀行も保険会社も(何もなければ)
当初約束した利息を付けて お金 を返してくれます。


さて、その【貸して】いる期間 なのですが・・、
銀行預金 では、5年(定期)ぐらい?

(一方)終身保険 では、30年?

(ずいぶん長い期間ですね・・)

【貸した】側からすると、少々不安になってしまうかも?

(皆さんはなりませんか?)

もし途中で解約したら、どうなるのでしょう?

銀行預金 → 元本は保証される
終身保険(貯蓄部分)→ 元本割れになる恐れ!

もう一度整理しておきますが、

生命保険会社が
「貯蓄部分」も含めた商品を販売したがるのは、

◆ 保険契約者からより多くのお金を集めたいからです。

(保険会社が運用会社である、
 と理解すればわかりやすいですね・・)


そして、もう1点。

私たちがお金を【貸した】先 が「倒産」したら、
どうなるのでしょう?

銀行預金 → 1000万円とその利息は最低限保護される

終身保険 → 最低限の「保護のしくみ」はなし!


わたしの答えはシンプルです。

◆ 保障を買うなら 保険会社 で。

  貯蓄するなら 銀行 で。


私たちは知らない間に「保険」という商品を、
拡大解釈してしまっているのですね(笑)




              神戸・トアウエスト(map) にて。
             (これからは元町がおもしろい?)




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