私は遅い仕事をようやく終えて、帰路についたのが夜の9時半ごろ。我が家のガレージに車を入れて、ふと茶の間のある部屋の方に目を向けた。
まだ夜10時前なのに部屋が暗い。お風呂にでも入っているのだろうか、我が家の家族は・・・。
そう思いつつ家の鍵を開けて、玄関に入る。静かだった。 私は仕事を終えた後の大きな荷物を両手に抱えて、ガサガサと茶の間に入る。
・・・。
母も息子も、既に布団を引いて寝ていた。 まだ10時前なのに!私が仕事を終えて帰ってきたのに!しかも爆睡かよ!
別に私は、みんなで両手を広げて私の帰りを歓迎しろとは言わんけども。・・・もうすっかり寝ている状態になっている我が家は、ちょっと寂しい。例えば、私が遊びに出てて遅くに帰ってきたら家族が寝ていた・・・っていうのなら、一向に構わないんだけど。
台所に目をやる。私の飯がナイ。 ・・・まぁいいんだけど。
仕方なく、2階の自分の部屋に向かう。手を洗おうと思い、途中にある洗面所に寄る。電気をつけようと思うと、どうやら電球が切れているみたいだった。電気が点かなかったのだ。暗闇の中で手を洗い、自分の部屋に行く。
パチンと自分の部屋の電気を点ける。やれやれ、とテレビの前に置いてあるテーブルの前に座った。ふと目をやると、テーブルにはパルックボール(25Wだけど100Wの明るさ)の新品の電球が置いてある。「洗面所の電球を替えとけ」と無言で言っているのだろうか。
世の中の「寂しいお父さん」と呼ばれる人々の気持ちを、ほんのりと垣間見た美南海なのであった。
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