「お母さん起きて。僕、お母さんの朝ごはん作ったよ。」
息子のその言葉で目が覚めた昨朝。時計を見ると朝9時。 「僕ね、朝ごはん作ったんだ。お母さんと僕の分のおにぎり作ったよ。」
得意げに私の布団を捲り、私を居間に誘導しようとする息子。そんな事をしてもらったのは此れが初めてでした。私の目はかろうじて開いてるものの白子状態の脳味噌はまだ覚醒していません。But、成長したと実感した我が息子の朝ごはん作りに軽い感動を覚えつつ、息子に促されるまま居間へと行きました。
誇らしげに指差す息子の手の先には机の上に置かれた小さな皿と、不恰好に崩れた4個のおにぎり。頑張って作ったであろうその不恰好な4個のおにぎりには俺が作ったクソなおにぎりと同様に、白いおにぎりとわかめ入りおにぎりと2種類の味に握り分けられ、味付け海苔が巻かれていました。それでも親馬鹿の俺の目にはキラキラとせせらぐ春の小川のように光り輝く感動と歓喜が迫り、汚れた大人となり下がり濁り切った俺の瞳さえもウルウルさせる物体でした。鬼の目にも涙。
ふと台所に目をやると使用済みのボウル(飯とわかめを混ぜたと思われる)、しゃもじ、握る際に手を濡らしたと思われる水が入った皿、そして砂糖。
――――― 砂糖?
何故砂糖があるのだ。 息子は私がいつも塩を手につけておにぎりを握ってるのを見ていたが。 もももももももももしや。息子は塩と砂糖を間違えたか!?
しかし折角の息子の好意を無下にする事も出来ず、突っ込む事も出来ず。「テメェ!砂糖でおにぎり作りやがったな!」とは言えまい。そこで確実に私の脳味噌は覚醒してしまいました。んぎょお!と変な声を上げつつ。
「さあ!お母さん食べて!」 満面の笑みの息子が私の目の前で皿を差し出す。 あ、あ、あ、あ、有難う。ううありがとうありがt・・・。
「おいしい?おいしい?僕ね、頑張って作ったんだよ。お母さんに食べてもらおうと思って。」
うん・・・美味しい・・・。 美味しい気がする・・・。
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