前潟都窪の日記

2005年11月01日(火) ローラの結婚6

「昴さん。幸福の四条件て知つていますか」とローラは昴に云った。
「何ですか,出し抜けに」
「実は、今日会社に退職の意思表示をしてきたの。そうしたら部長が、幸福の四条件の 話をしてくだきったの」・
「それでは、本気で僕との結婚を考えてくれているんだね」
「そうよ。真剣よ。だから私の質問に答えて」
「志、健康、金、あとはなんだろう。セックスがうまくいくことかな」
「そうね。結婚生活ではそれは欠かせないわね」
「セツクスがうまくいかなくて、浮気をしたり離婚したりというケースが結構あるんじ ないだろうか」
「子供が出来なくて夫婦仲がうまくいかない、などということも聞いたことがありますよ」
「つまるところ、セックスがうまくいかないということでしょうね」
「僕達の場合、その心配はなさそうだね。君は十分満足しているようだし。よがり声は最高だものね」と昴が言うと
「まあ昴タラッ」とローラは昴を打つ真似をした。

「志、金、健康この三つはいいわね、セックスは家族愛に含まれると思うわ。もっと大く把えて、その人を取り巻く人間関係ということよ。この四つの中で一番大切なものは何だと思いますか」
「僕は志だと思う。将来に対する希望とでも言ったほうがよいのかな」
「部長に言わせれば自己実現ということですよ」
「私に言わせれば志ということだと思うよ」
「私達にいま一番欠けているのはお金ね」
「志さえあればお金はついて来るさ。健康で志があれば今お金のないことは問題にはならない」
「私達の場合、私達を取り巻く人間関係が一つの阻害要件になっているわね」
「心配しているんだよ。ローラさんの両親は、ほんとに僕達の結婚を許してくれるだろうか。そのことだけが問題だと思う。いよいよとなれば、駆け落ちするだけの覚悟はしているんだけど、できれぼ祝福されて結婚したいからね」
「大体、目処はついているのよ。昴の気持ちが固くて心変わりしない限り、説得してみせるわ」
「その点なら、大丈夫だよ。ローラさんは僕の誇りであり、宝なんだから。志さえ堅持していれぼ、お金の問題や年齢差の問題なんか克服していけるよ。僕の心はローラさん以外にはないんだから」

「昴の志を聞かせて欲しいわ」
「僕の志は3年内に独立して、工事を請負えるようになり、5年後には会社を設立し15 後には市会議員になり、20年後には国会議員になることだ。今二十歳だから25歳で社長 35歳で市会議員、40才で国会議員、50歳で大臣になるということだ」
「素晴らしいわ。目が輝いているわ。それだけのことが言える若い人が最近いないのが しいわ。私が昴に注目したのは貴方の目が輝いていたからよ。そして仕事に夢中になっている姿よ。人の嫌がる残業や休日出勤を買ってでるのは何時も昴なので最初はこの人守銭奴かなと思ったわ。だけどそれにしては目の輝きが違うのね。それが私の気持ちを動かしたんだわ」

「ローラさんが私をそんなふうに思って呉れるのは有り雛いが、私には財産はなにもないですよ。父親は私が小さいときに蒸発したし、残された母親は兄貴と私と妹を育てる為 、託児所に預けて、キヤバレー勤めをしたんです。とても貧しく人様に誇れるものは何もないんですよ。あるのは健康と志とやる気だけ」
「私だって今までに幾つか縁談もありましたし、恋愛もして結婚しようと思った人もいますわよ。でも具体的に話が進んでくると逃げ腰になる男ばかりで、実りませんでした」
「何故ですか」
「私の理想が高かったから」
「ローラさんの理想とは」
「志の高い男であることよ」
「私は志が高いことになるのですか」
「現代の男はなんですか。皆、小市民的な発想しかできないのかしらね。マイホームを守って、遅れず、休まず、働かずで適当に会社生活をすごせばいいと考えている人達ばかりですわ。管理社会だから実力の振るいようがないなどと言って適当にやっているのですから。いじましいたらありやしない」
「志の高いことでは誰にも引げをとらないつもりです」
「自分は志が高いと口では言えるわ、でもそれを保持し実現することは難しいことよ。 志の高きが本物か偽物かを見分げる物差しがあるわ」
「その物差しとは何ですか」
「コンプレックスよ」
「コンプレヅクスだって」
「そうよ、しかも劣等感のほうがバネになるのよ。優越感のほうは往々にしてその人を駄目にするわ。優越感に安住して自分を高める努力をしなくなるからよ」
「ローラのコンプレックスは何」

「八才も年下の男性と結婚すること、この劣等感がきっと人間関係を円滑にしていくバネになると思っているの、親戚や友人達はいろんなことを言うでしょう。でもそれは社会の既成観念に囚われた俗人の言葉よ」
「ローラ、僕は幸せだ、志を高くもって必ず実現するからね。志が挫けそうになったら 励して欲しい」


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