暁降
あかときくだち:
夜が更けいって、明け方近くになること。

2002年03月22日(金) エネミー・ライン

■「いつだって笑っていて」言っちゃうことは我が儘?■

●エネミー・ライン
観ましたよ!!もう最高ですよッ!私の好きな映画の中でも高い位置に属しますよ〜ッ!
観たのはもちろん水曜のレディスデイ♪春休み近くってことで「モンスター・インク」を観に来た親子連れが凄かった。

●“感覚の鋭さと圧倒的な情報量。そしてリアル”
それが「エネミー・ライン」の印象でした。もう一つ付け加えるならスピード、ですかね。

●もうですねぇ、映像が最高なんですよ!出だしはジョン・ムーア監督の言ってたとおりミュージックビデオ状態。空母艦隊の甲板上でどこだかのアーティストが歌ってくれていても全然OK!ってな具合ですvv
わざとスローテンポとアップテンポを微妙な感覚で切り取っていてそれがグッと見せつける。
しかもですね、作りが確かに戦争映画でありつつ、サバイバルで地道なアクションモノなのですよ!
CMで流れているF/A18戦闘シーンのコマ割りなんて、本当に凄いのッ。目まぐるしくアングルや、カットが切り替わって。それでいてその見せ場の伝え方とかが臨場感あって。

●市街戦のシーンはジョン・ムーア監督が報道カメラマンであったという経歴を生かしての撮影の仕方で!これは本当にニュース報道を観ているようで怖かったです。
報道カメラマンって、撮ることが命でどうしてそんなところにカメラ向けるんだ!逃げろよっ、とかって云う感じが私的にあるのですが、それが見事にあって。
ネタバレ的要素ですが、バーネット(オーウェン・ウィルソン)が救出部隊との合流地点へ向かっていく間に誤情報が流れて救援部隊は目前に帰ってしまうシーンがあるのですが、それが切なかったです。むちゃくちゃもどかしく、自分の腕をぎゅっと掴んでいました。

●私、時たまニュース見て泣くことがあるんですが。
憤りとか、哀しさとか、何かよく解らないものが一緒くたになって。
そんな感じでした、この映画は。

●話的には、普通の海軍兵士がいつもの任務に飽きていて、そしていつもの任務の延長線上で何気なく撮影したモノが、とんでもない軍事秘密で敵に爆撃され、逃げる。生きて逃げる。
ってなモノです。それが本当の戦争でもあると思う。
誰だって英雄じゃない。だけれど、英雄に憧れてる。
いざ敵地で一人敵と対する、なんて事になったら…逃げるね。訓練思い出して(兵士ならね)、なんだってしながら逃げるね。
この映画の戦争の場は表向き和平が結ばれてるけれど、その戦場にいる人たちには和平なんて一つも関係ないことになっている。本当の死と、隣り合わせと云うか向かい合ってると云うか、追いかけて来てると云うところで。

●「エネミー・ライン」のリアルって云うのは普通の何気ないショットの中にも沢山あって。
敵地で一人逃げ回っているバーネットと空母艦のなかでクリスマスを楽しんでいる兵士たちの対比。もうすぐ任期明けの浮かれた状態で、クリスマスのごちそうを食べてる。
また艦隊司令官レガート(ジーン・ハックマン)が部下を救出したく部隊を出動させたいのと、和平が結ばれた今の状態をたった一人のために無に返したくないNATO軍提督のピケ(ホアキン・デ・アルメイダ)の対立も面白かった。
あるだろうな〜って、云うリアリズム。

●あぁ、それから多分やってるんじゃなかろうか、と云う通信衛星にハッキングしてのバーネットの位置割だし。
この通信衛星は怖い。秘密なんて護られないんじゃ、って云う怖さと熱感知システムの間の抜け方(これは映画を観ていただくしか)←CMでその直前シーンまで流れてます。

●それに地雷が仕組まれているところで、現地の子供が当たり前のように遊んでいる。って云うのもすごいっ!って素直に思った。
現実で、きっともしかしたらそういうものと付き合って生きて居るであろう子供のことを考えて。
追撃する狙撃手の服装がジャージって所もリアル。迷彩服着た兵士よりも、居そうだ、こんな奴!って所が怖い。

●始めから終わりまで、スピード感溢れる映画です。
逃げるシーンでのアップってほとんどなくて。
遠くから、覗くように追跡するようにカメラは廻ってる。
わざとらしいコマ送りなんて無いくせに、見せ場でのカットとショットは面白い!
死なんて、まるで考えていなかった日常から一転しての状況。
死を考えるのは仲間を狙撃された瞬間。今の、この戦争で、戦闘中巻き込まれて死亡することは考えても、怪我をして降伏している者を捕虜にするだろうとは考えても、まさか真後ろから狙撃されて死ぬなんて事は考えてない。その現実感。
落ち込む暇も嘆く暇も与えられない、生への逃亡が始まる。

●実は敵の追撃者も好きですね。プロって感じが。
敵軍の将校よりもずっと戦闘のプロ。冷静で冷徹で緻密な計算上で仕事を遂行する。
そんなプロなんだけれど、と云うか、そんなプロだからこその欲目というのか焦りって云うものもリアルでした。
ずっと冷静でいたのに、最後に焦っちゃったところが人間だなぁって。
映画的にはそうなっちゃうんだけれど、そこで焦らなければ追撃者の勝利だったのにねって。

●多分この映画は何回でも観ても良いかんじ。衛星放送とかしたらビデオにとってお気に入りになっちゃうね。
映画ももう一回観に行っても良いくらい(笑)最近そんなのばっか。
あ、ハリポタくらいか何度も観てるのは。ちなみに“踊る大捜査線ザ・ムービー”はビデオで3回は観ました(笑)

●そういや、俳優に惚れるよりもその脚本やカメラワークに惚れる方が繰り返し観るようです。
それにしても本当にこの「エネミー・ライン」は好きだ〜ッ(笑)マジ最高vv

●もうすぐアカデミー授賞式ですねぇ。
ノミネートでは「ムーラン・ルージュ」は観てます。
音楽と美術に衣装が圧巻だった!内容も割と面白かったし。
ニコール・キッドマンは確かに美人だと思うがそれ以上に歌が上手いッと思ったのでした(笑)



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