■数えきれない空の色■
●海から生まれ出る虹を見た。 初めて、海上から出ている虹を見た。海から陸地へとかかる空の橋。 山間部や、高原でなら、虹を見ることは割とあって。海から生まれる虹はなんか、凄かった。 大きい、でも淡い虹だった。
●夕焼けも綺麗だった。 伊豆半島がくっきりと見えて、それでいて山の中腹には雲がたなびいている。 富士山の向こう側に沈む夕陽。 空へ雲へ放射線状に伸びる光。 山々の陰影が、少しづつ濃くなっていく。澄んだ空気に広がる、何色もの夕陽の色。 朱とか、橙とか、ピンクとか紫とかもう数え切れないくらいの空の色。
●海には光の道が出来て。 それが夕陽の色を映していた。 波は波頭が白く上がるほどに荒れてはいたけれど、厳しいと云うわけじゃなかった。 烏帽子岩に、波が打ち付けては帰す様がよく見えた。 海の上は、薄曇りで大島は見えなかったけれど、少し視線を上げると青空が覗いていた。 そのまま西へと視線を移せば、雲に浮かんだ伊豆半島の先端が見えた。 雨で汚れたものが流された。
●昼間、凄い土砂降りだった。 雨音がひどくて、テレビの音がよく聴き取れないほどだった。 それが、4時を過ぎる頃から上がってきて。 夕陽に反射する、飛行機が遠くに見えた。 海上から陸地への空の橋が見えた。 富士山の影と、たなびく雲と、半島の影が幻想的で。 空を飛ぶ鳥の影がだんだんと濃くなって。 海の色が碧かった。波頭があって、サーファーがいて、犬を散歩する人や、ジョギングする人がいた。 日常があった。 何だか、少し、嬉しかった。 誰もが空を見つめていた。
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