■自転車で走り抜ける土手の薫りは夏だった。■
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◆薔薇の香と 重なる想いと その深さ◆
薔薇は、その花が咲いたときに人の目を惹く。 芳しき香りと、その儚さとで。 薔薇は確かに美しく可憐である。が、その花は盛りの後には風にさらわれはらはらと、散りゆくのだ。 女王と呼ばれるその花も、女王だからこその哀れを誘う。
薔薇は多種多様の種類がある。 幾多もの種類がある中で、私が惹かれるのは原種に近い蔓性の野薔薇。 改良に改良を重ねた薔薇は美しいとの表現が似合う。 が、原種に近い薔薇はどちらかと言えば可憐と表現すべきだろう。
垣根や、潜り戸に蔓をはわせそれらはひっそりとその場にあり続ける。
気付かれることもなく。
海辺や空き地、ぽっかりと何もない空虚な空間。 そんな場所に、実は薔薇が植わってる、なんてことがある。 咲くまで気付かないから、誰も気にしない。 そうして、ある日花が咲いたことでそこに薔薇が植わっていたのだと知る。 そしてそんな場所にあるのはどちらかと言えば、薔薇、と言う言葉が似つかわしくない薔薇。 何を持ってして薔薇というのか、そんなモノは実は人間が勝手に決めたものだけれど。 それでも、その可愛らしさと元気のあまりある姿が微笑ましい。
蔓薔薇の香気はどこかに懐かしさを感じる。 遠い、幼い頃の思い出を揺り動かす。 忘れてしまったと思っていた、朧気な記憶を呼び覚ます。
深く吸い込むたびに、その思い出は鮮明になる。
◆薫る風 思い出深き 揺籃歌◆
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●なぁんて。 今度は花を題材にして書いてみました。最初と最後に俳句を入れて。 季語は怪しいんですが、それでも気にはしてみました(笑) って、その前の小説の続きも書けやーってところなんですがね。 日記に掲載の前の小説は全部“春”がタイトルに付いてます。 それでチェックして頂ければ。 まぁ今回は花名がタイトルで表示されるでしょうがね。
●今回は小説でもあるけれど、エッセイでもあるような。 私小説って、定義はどこら辺なんだ? この場合は違うけれど、でも小説って割合と自分の中身を削ったり披露したりして、書いてるところがあるような。 自分の中の、闇や光。
●正直になれることもなれないことも、自分の中にある何かを形にしたいから、私は何かを書き続ける。 溢れだす言葉。
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