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| 2022年03月19日(土) ■ |
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| 『シュツットガルト・バレエ団の輝けるスター達』Aプロ |
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『シュツットガルト・バレエ団の輝けるスター達』Aプロ@東京文化会館
直前にひとり来られなくなったので、正確にはダンサー11人と芸術監督のタマシュ・デートリッヒの12人。幕が上がると同時に割れんばかりの拍手。開演前に降り出した雨のような響きだった。
笑顔でボレロ踊るひと初めて観ましたわ……そういう意味でも衝撃であった。しなやかで正確、明快、音楽のリズムと動きがピタリと合う。爽やかさすら感じられる。リズムのダンサーたちと視線を交わし、コミュニケーションをとる余裕すら感じられた。カーテンコールでの肌に光る汗と、胸の呼吸の動きに「白鳥」を思う。あんなに優雅に踊っていたように見えたのに。いやあ、本当にベジャールの『ボレロ』はダンサーによって姿を変える。と同時に、ダンサーをベジャールの『ボレロ』へと呑み込んでしまう。だから何度でも、さまざまなダンサーの『ボレロ』を観たくなるのだ。
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本当は『眠れる森の美女』と『オネーギン』の通し公演が予定されていたのでした。しかし彼らは来日公演を諦めなかった。長年培われたバレエ団とNBSの信頼関係があって実現したガラでもあります。それはベジャール財団とNBSとの関係においても同様で、フォーゲルが東京で『ボレロ』を踊ることに許可が出たのです。リズムは人数が多いこともあり、全員のクレジットはなかったのですが、池本祥真もいた。豪華。
それにしても、メンバーが到着した日の夜にあんな大きな地震がくるとは……。なんかもーこっちは感覚がおかしくなっていて慣れもあるのだが(よくない)、さぞ怖かっただろうな。ちなみにガブリエル・フィゲレドは出発直前に体調をくずし、来日出来なくなったことが3/15(火)に発表されました。そして当日になって、フォーゲルが自ら振付したソロ「Not in My Hands」がプログラムから外れてしまった。もともと「Not in〜」はAプロのみだったのだが、以降B、Cプロに入ることもなく、その他こまごまとした演目の変更があった。後述のインタヴューを読んで楽しみにしていたので残念だけど、バレエ公演では珍しいことではない。何よりダンサーのコンディションがだいじ。
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【Aプロ】
─ 第1部 ─
「春の水」 振付:アサフ・メッセレル 音楽:セルゲイ・ラフマニノフ エリサ・バデネス、マルティ・フェルナンデス・パイシャ
「ソロ」 振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ ヘンリック・エリクソン、アレッサンドロ・ジャクイント、マッテオ・ミッチーニ
「コンチェルト」 振付:ケネス・マクミラン 音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィッチ アグネス・スー、クリーメンス・フルーリッヒ
「眠れる森の美女」より グラン・パ・ド・ドゥ 振付:マリシア・ハイデ(マリウス・プティパに基づく) 音楽:ピョートル・チャイコフスキー マッケンジー・ブラウン、デヴィッド・ムーア
─ 第2部 ─
「椿姫」より 第2幕のパ・ド・ドゥ 振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン ピアノ演奏:菊池洋子 エリサ・バデネス、デヴィッド・ムーア
「やすらぎの地」(新作世界初演) 振付:アレッサンドロ・ジャクイント 音楽:ヤイール・エラザール・グロットマン、ライ ヘンリック・エリクソン、アレッサンドロ・ジャクイント
「オネーギン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ 振付:ジョン・クランコ 音楽:ピョートル・チャイコフスキー ロシオ・アレマン、マルティ・フェルナンデス・パイシャ
「ブレイク・ワークス1」より “プット・ザット・アウェイ・アンド・トーク・トゥ・ミー” 振付:ウィリアム・フォーサイス 音楽:ジェイムズ・ブレイク アグネス・スー、マッケンジー・ブラウン、マッテオ・ミッチーニ
「うたかたの恋」より 第2幕のパ・ド・ドゥ 振付:ケネス・マクミラン 音楽:フランツ・リスト エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル
─ 第3部 ─
「ボレロ」 振付:モーリス・ベジャール 音楽:モーリス・ラヴェル フリーデマン・フォーゲル 樋口祐輝、玉川貴博、大塚卓、岡��司 東京バレエ団
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幕開けにふさわしい明るさを持った「春の水」では美しく決まったリフトにため息とともに拍手が起こる。男性ふたりの官能的なパ・ド・ドゥ「やすらぎの地」、ジェイムズ・ブレイクの曲にフォーサイスが振付けた「Put That Away and Talk to Me」も印象的。スピード感、ユニゾンのシンクロ具合、力強いビート。めちゃ好み。「ブレイク・ワークス1」は皆よかったなー、アグネス・スー、マッケンジー・ブラウン、マッテオ・ミッチーニ。ブラウンとミッチーニは準ソリストとのことで、層の厚さを思い知る。また観たい、てか通しで観たい! ガラ公演になったことで、来日公演では観る機会が少なそうなコンテンポラリータイプのダンスを観られたことが、個人的にはうれしかったです。
しかし「やすらぎの地」でRhyeの曲を使用していることにあちゃーとはなった。Rhyeが何をして今どんな評価になっているか、転記するのもおぞましいので、気になる方は検索してみてください。作品と人物は別と思いたいところはあるけれど、Rhyeのそれは作品そのものに関わっていることだし、いいイメージはないですね。
「眠れる森の美女」は歌舞伎の飛び六方のような動きもあり興味深く観ました。「椿姫」のピアノのみ生演奏。『M』でも演奏されていた菊池洋子さんでうれしかった。カーテンコールもダンサーたちと手を繋いで前に出てきました。盛り沢山なプログラムは楽しい。
そんなガラらしさが一気に吹き飛んだのが二幕最後の「うたかたの恋」。ささやか乍らセットや小道具もあり、何よりエリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲルのふたりがあっという間にドラマティックな別世界へ連れて行ってくれました。これがあの『エリザベート』の息子ルドルフとその恋人マリーの悲劇だとは知らずに観ていてスン…となってたんですが、幕間に近くの席のおじいちゃんと小学生の孫らしきふたりが「すごい悲しそう。どうして?」「これは本当にあった歴史的な事件で、ふたりは心中しちゃうんだよ」と話していてヨヨヨとなりました。
言葉なき物語をちゃんと感じとったこの子もすごいし、孫をバレエに連れてくるおじいちゃんの豊かな感性にも感じ入りました。そして勿論、ちいさなこどもにも不穏な男女の関係を伝え切ったバデネスとフォーゲルの力量も素晴らしい。
カーテンコールでは、女性ダンサーに花束が贈られました。公演実現に奔走してくれた方々に感謝。ドラマティック・バレエの名門であるシュツットガルト・バレエ。ガラ公演になったことで悔しさもあったでしょうが、ヴァラエティに富んだプログラムが観られてうれしかったです。
来てくれて本当に有難う、次回は是非フルメンバーで通し公演を!
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・公演直前! フォーゲルインタビュー 〈シュツットガルト・バレエ団の輝けるスターたち〉┃NBS News 「(「ノット・イン・マイ・ハンズ」は)僕自身がやむにやまれず、友とともに創作したソロです。その頃、僕は非常につらい時期にありました。母の死とパンデミック、その後の世界中の劇場閉鎖と公演の中止......。これらの出来事によって沸き起こる強烈な感情に圧倒され、文字通り『意のままにならない』感覚を持ちました。僕の私的な経験を語っていますが、きっと多くのアーティストが同じような経験をしたと共感してくれるのではないかと思っています」
・現代随一のバレエダンサー、フリーデマン・フォーゲルに独占取材。コロナ禍を乗り越えて見えた世界とは┃婦人画報 「人生は何が起こるかわからないのだから、とにかく一瞬一瞬を楽しみ、精いっぱい生きるのが肝要であること。同時に、やはり人生はコントロール不能なことに満ちている。うまく自分の手の中に納めることなどできないという意味を込めて、『ノット・イン・マイ・ハンズ(NOT IN MY HANDS)』というタイトルを付けた作品を創りました」
・friedemannvogel_official┃instagram フォーゲルのinstaより、舞台袖からのボレロ。後方のリズムの動きも見えて貴重な動画
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