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2023年01月28日(土) ■
『高橋徹也 × 小林建樹』2

(続き)

『高橋徹也 × 小林建樹』@Star Pine’s Cafe

アンコールは小林さんの楽曲「満月」をふたりで。「(デビュー時)R&Bシンガーっていわれたことあるんですよ。ブラックミュージック得意なんですか? って訊かれて、いやあ、得意じゃないですぅって」と小林さん。ジャズやラテンミュージックのコード、南米(遡ればアフリカ)のリズムを他の誰とも似ていない手法で使うところもふたりの共通点だ。デビューする際、不特定多数に紹介しやすいようジャンル分けをしたり、レッテルを貼るという手順は必要かもしれないが、このふたりは「他の誰とも似ていない」ためジャンル分けしづらいというところはある。似ていないところが似ているというのは矛盾だが、だからこそ他に代えがたい。

「シンガーソングライターって、バンドみたいに一緒にバンに乗ってツアーに出たりしないし、横の繋がりがなくて孤独ですよね」と高橋さん。「集まると皆シャイですもんね。(それぞれの)世界がいっぱいある感じ」と小林さん。そうだなあ、誰にだって代えはいないのだ。

「自分の歌をクセのある声のひとに唄ってほしかった」「やっと唄ってもらえます、うれしいです」と小林さん、資料(といったのが印象的)をもらって聴いていたとき「タイトルが最初のフレーズにないんだ、と思った。格好いいなって」と高橋さん。「小林さんのファンはすげえ大目に見てやってください」と謙遜した直後、導入の“見上げれば”。息を呑む。つくづくギフトな声。サビはユニゾン。ハモる箇所は高橋さんが上を唄う。グリッドがズレる、揺らぎが生まれる。ラジオで小林さんがいっていた「(高橋さんの楽曲を)唄えてると思うんだけど、実際唄うと微妙にズレる」は、小林さんの楽曲を高橋さんが唄う場合でも同様だ。この微妙に合わない辺り、カッチリ合っていないのにどうしようもなく魅力的な響きが生まれているところはストーンズぽくもあるじゃないか。これはソロでは聴けない。今だけだ。また楽譜が落ちる。高橋さんがハミングし、ふたりでスキャットから輪唱へ。こんなに演奏が終わってほしくないと(以下同)。

高橋さんの「互助会が必要、シンガーソングライター互助会」との言葉に笑いつつ、それは確かにと思ったりもする。同い歳、90年代後半にデビュー、バンドセットでのベースが鹿島達也さんだったりと共通点もあり、共感するところも多いというふたり。何故接点がなかったのか……と疑問ではあった。しかし考えてみれば、あの頃のふたりはそれどころではなかったのだろう。当時の高橋さんのことは知らないが、かなり葛藤の時代があったようだ。高橋徹也の屋号のみで作品をつくり続けてきた。自分の世界を表現出来るのは自分だけだという自負も感じる。だから今回、『1972』に続き小林さんに自分の歌を一部任せたことは大きなエポックに感じる。一方小林さんも悩んでいたし、苦しんでもいた。プロデュース、楽曲提供、サポートミュージシャンの活動を経て、ソロシンガーとしての活動に再び主軸を置き、「楽曲提供とは違う自分の曲」を誰かに唄ってほしいと思っていた。

小林さんは高橋さんと自身の楽曲から共通点のあるセットリストを組んだ。高橋さんは自身の歌詞から、対象として小林さんが浮かび上がるような楽曲を選んだ。小林さんは演奏で親愛の情を示し、高橋さんは詩で時間を辿った。これぞ互助会。交流が始まったのが2013年でよかったのかもしれない。機会をつくってくれた山田稔明さんに感謝するばかり。

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E. Gt.:
SE Overture - Blackbird
01. ブラックバード
02. 八月の流線形
03. サマーパレードの思い出
04. Blue Song
05. 無口なピアノ
06. 夜はやさしく
07. La Fiesta
08. 新しい世界(w/小林建樹)
09. 怪物
en. 満月(w/小林建樹)
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「記念に写真とか撮って帰ってください」と撮影タイム。高橋さんのライヴではよくやっているけど、小林さんは初めてなので戸惑っていたような。手を繋いでわーってやったり、慣れてない感じ。だいたい小林さんがひとと手を繋いでるの初めてみた気すらする。「また必ずどこかで会いましょう、気をつけて帰ってね!」と高橋さん。寒い(とはいわないんだが・笑)なか足を運んだ観客を気遣い、帰って行かれました。

照明の基調はブルーとイエロー、ウクライナカラーだった。演者から指定があったのか、照明スタッフの方が普段からテーマにしているのか……。高橋さんがブログに書いていた「実際に積雪で大変な思いをなさってる方」というのは、日本の豪雪地帯に住むひとびとだけではなく、住処を失ったウクライナのひとびとのことでもあるのではないか。ふとそんなことを思う。愛と平和(と書くとソフトバレエだわね)、世界平和というちょっと照れくさい、しかし絶対に守らなければならないことが根底に流れているようなライヴだった。

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「またやりましょう」、楽しみに待っています


演者側も楽しまれたようでよかった

・二月モードへ┃夕暮れ 坂道 島国 惑星地球
「今後もオリンピック周期くらいの頻度で、お互いの現在地を確認できるようなライブが出来たらと思います」
待ってる〜(再)

・ツーマンライブ終わりました。┃小林建樹オフィシャルサイト
「母も配信で観ていて、感想が『高橋さん、声が綺麗わ〜』と開口一番でしたから」
わ・か・る!!! そういえば小林さんが佐野元春聴き始めたのって、お母さまがきっかけでしたね。
HPリニューアルにより『風の発光体』ってサイト名なくなりましたね。ちょっとさびしー

・あと面白かったところ。
-「寒いとかいいませんよ」といっていた高橋さんに、「もう、寒くてぇ!」とド直球を投げる小林さん。「それ、禁句……」「禁句なんですかぁ」。ウケる。「いや、いいんです……」ボソリと高橋さん
-ライヴ日程を決める際、候補日のひとつだった27日を「誕生日の翌日なんです」とメールしたら、高橋さんが「この日にしましょう!」と返事をくれたそう。しかし当日が近づくにつれどんどん寒くなり、「道がどんどん凍っていって」
-単純に寒いからというのではなく、声が出るかとか風邪ひかないかとか、お客さんが来るのたいへんかも、といった心配事からの「寒くてぇ!」だったのだと思いますょ(フォロー)

・コード進行で見る高橋徹也┃古い土地
・【楽曲解説】高橋徹也 - 『夜に生きるもの』(コード進行で見る高橋徹也�◆萌�古い土地
高橋さんの楽曲アナライズといえばこちらの記事が素晴らしかったので(高橋さんには「そんなことあなたにいわれたくない」っていわれそうだが)リンクを張っておきます。
「高橋徹也はジャズやボサノバに出てくるいわゆるオシャレコード(m6やm9)を全くその文脈でない方法で用いる。その用い方は、普通ポップスの人間がそういったコードを輸入して作るやり方(渋谷系を念頭においてる)とも趣が異なる。」
これは小林さんにもいえるところだな。ラテンミュージックのコード、アフロキューバンのリズムを全く独自の方法で使用し演奏している

・「AIのべりすと」に歌詞は書けるか〔高橋徹也編〕┃古い土地
この方のブログ、これも面白かった。というか、高橋徹也でブログ内検索すると興味深い論文が沢山出てきます。オススメ