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2025年03月12日(水)
KYLIE MINOGUE『TENSION TOUR 2025』

KYLIE MINOGUE『TENSION TOUR 2025』@有明アリーナ



説明しておくと、ライヴ後豊洲のジョナサンで打ち上げしてて「動画や感想が続々アップされてる頃よね〜」とtwitterを開けたらホーム画面がおすすめの方になっていて、おとぼけビ〜バ〜のあっこりんりんさんとエディ・ヴェダーのツーショットが目に飛び込んできたのだった。SNSのアルゴリズムって恐ろしい、マジで大声出したよね…失礼しました……。22年も日本に来てない(プライベートでは来てたのかも知らんが、何せプライベートなことなので知らんがな)くせになんで!? と狼狽えたがすぐに思い立つ、エディはシカゴカブスの熱烈なファン。ドキュメンタリー映画がつくられたくらいで……どう考えてもカブスvsドジャースのMLB開幕戦観に来たついでだよな〜! ライヴでも来てくださいよ!!!

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前置きが長い。『APHRODITE TOUR 2011』以来、実に14年ぶりのカイリー来日公演です。昨年東京国際映画祭で『グラディエーターII』のレッドカーペットに何故かカイリーが登場し、ファンの間で「なんで!?」と騒ぎになったのですが(作品にも出ていないし曲が使われている訳でもない)、その後来日が発表になったのでプロモも兼ねていたのかも知れない。しかしそういう類のプロモ記事、全然見かけなかったな……サプライズゲストでカイリーが登場とかいうニュース記事はあったが。結局何だったんだ、やっぱり謎。

という訳でキャーキャーいいつつチケット確保、あっという間に当日。楽しみすぎて前日夢にカイリーが出てきた、と思った瞬間こむら返りを起こし悶絶して飛び起きる。ときの流れ(加齢)を感じるわ。

前回の来日公演は、東日本大震災+福島原発事故から一ヶ月とちょっとという時期だった。地震と被曝が不安視され、来日公演のキャンセルが相次いでいた頃だ。幕張の路上は液状化の影響でマンホールの蓋が浮き上がっていた。それでもカイリーは来てくれた。「行きたいと思うひとだけ来てほしい、不安があるひとはやめておいて」と募った結果クルーは縮小。充分な電力供給が出来ないかもということで、セットやショウの規模も変更せざるを得なかった。それに伴うリハの時間もあまりなく、本当にたいへんだったそうだ。

やっぱりこういうときに来てくれたひとたちのことってずっと憶えているものだなー。Underworldとかさ…夏にはマニックスも来てくれたしさ……なんだか恩義すら感じてしまう。

前置きが長い(再)。有明アリーナ初めて行きました。どの駅から行っても徒歩15分以上かかる陸の孤島だった(笑)。よって駅を出ても「どっち?」てな感じだったのだが、前を網タイツにホットパンツ、ヒールのひとが歩いている。このひとなら! と確信を持ちついて行く。大きな橋を渡ると、雨と霧をまとった巨大な建造物が見えてきた。ふもとには真っ赤なドレス、スパンコールのジャケット、キンキーブーツに網タイツのひとたち……ここだー!

スタンド席だったので早めに入場(上階に辿り着く迄がマジで長い)、ぼんやりアリーナを眺める。通常のステージの他に、センターステージがありますよ? どうやって移動するんだ? 地下を走るのかな? フライング(SHOCK)とか? いやいや無茶な。なんて話をおやつ食べ乍らダラダラ話しつつ、まだかまだかとずっとソワソワ。アリーナにドレスアップしたひとが続々入場してくる。開演時間から10分程遅れて暗転、大歓声。そこからは! もう!! 怒涛のヒットナンバーメドレー、ハウシーなダンストラックつるべ打ち、衣裳替えのインターミッションもショウアップ、センターステージでのバラード&リクエストコーナー、往年のハリウッドを彷彿させる映像からのクラシカルコーナー、そしてラヴ&ピースの大団円。泣いて笑って唄って踊って、あっという間の2時間弱!!! 筋肉痛は二日後(加齢)!!!

衣裳は6パターンだったかな、シーンが変わるごとに衣装替え。シルバーのマーメイドドレス、真紅のセットアップ(ワイドパンツ。ツナギだったかも?)、ヴァイオレットのセットアップ(キュロット……今はスカンツっていうの?)、大きなスリットが複数入った白のドレスと黒のドレス、そして黄色と黒の幅広斜めストライプのカットソーにキュロット(スカンツ?)。前半はパンプス、後半ニーハイブーツ。どちらもピンヒールだったかな。颯爽と歩き、颯爽と踊る。この体幹の強さよ……!

構成は5つのアクト+アンコール。「Lights Camera Action」からメドレーとダンスで一気呵成にたたみかけるオープニング、総勢10名(だったかな)のダンサーの見せ場をじっくり作るショウ仕立てのパート、「The Loco-Motion」からフロアを練り歩いて(!!!)センターステージへと移動し、オーディエンスと親密な時間を持つ心震えるパート、サスペンス仕立ての映像(真夜中にベルが鳴り、窓外のビルボードには「TOKYO」の文字が!)からクラシックな魅力溢れるショウパート、そして愛に溢れた、そこには愛しかない、世界にただひとりのカイリーが、世界にただひとりだけのラヴァーズたちに愛を届け、またの逢瀬を祈りつつ去るフィナーレ。

「The Loco-Motion」はラヴパレードだった。カイリーを先頭に、ダンサーとコーラス隊の一団がフロアにやってくる。会場中が大狂乱。リクエストを募り、センターステージにいちばん近い一群からカードを受け取る。アコギを抱えたバンドメンバーを呼び寄せて……演奏されたのはなあんと「Turn It Into Love」!!! どよめき!!! あれですよWinkの「愛が止まらない」desuyo!!! 盛り上がった割にシンガロングが鈍かったのは、日本人というか日本にずっと住んでると日本語詞の方が浮かんでしまうからですよね……「JIN、JIN、JIN、感じてる〜」って出てきちゃうのよ! ごめんよ!!! いや〜しかしレア…いいもの聴いた……帰宅後SNSを見て知ったのだが、開演前に「『Turn It Into Love』をリクエストしましょう!」とパステルレインボーカラーのカードを配っていたひとたちがいたとのこと。感謝感謝。

ビックリはそれだけでは終わらない。センターステージを囲むオーディエンスに花を一輪ずつ配った(!!!)あと、そのなかのひとりに「あなたの名前は? あなたに唄うわ」と「Where the Wild Roses Grow」を唄ったんですよ。キエー!!! ニック・ケイヴとのデュエットのあれ!!! 邦題「野ばら」!!! 最の高!!!!!

リクエストと「野ばら」は、このツアーでは恒例のコーナーだそうなんだけど、「愛が止まらない」はレアもレアよな……。終盤「I Should Be So Lucky」(あーいしゅびそらきーらーきらきらきー☆よ! 野太い声のシンガロングが響き渡ったわよ!)をやってくれたのもさ……たまにしか来ないから日本ではむかーしの曲もやってくれる。そのサービス精神に感謝しつつも、このひと最新曲もずっとヒットチャートを賑わせ続けているんですよね。これって本当にすごいこと。ゲイカルチャーへの敬意、ディスコ/クラブミュージックへの愛情と矜持は不変。いつでも最新型で、いつでも変わらない。それがカイリー・ミノーグ。

カイリー姐さんの細腕奮闘記じゃないけど、華やかなショウビズの世界に長くいて、アイドルから大人のアーティストへと移行する際には不遇もあり、ポップアイコンとしての地位を確立してからも病に襲われと、決して順風満帆ではないキャリア。キュートでセクシーな声は、MCとなると溌剌とした気風のよさが際立つ。観る度にハッとするけどとても小柄、とても華奢。あの細い身体に、こんな大きなステージを、大勢のオーディエンスを掌握するパワーが詰まっていることにいつも驚かされる。

しなやかで強い美しさ。いつでも最新型であり、そしてそれは長いキャリアの積み重ねの賜物だということを見せてくれる。若作りと若々しさは違うもの、プロフェッショナルのポップスター。フロアを見渡し「かわいい!」と叫び、「1、2、3(イチ、ニ、サン)」と日本語でのカウントも。ステージを闊歩し振り向きざまに腰を振ると、ゲイもヘテロもドラァグもカジュアルも、フロアが揃って悲鳴を上げる。レーザー、スモーク、グリッターに紙吹雪。ステージに両足を踏みしめしかと立ち、掌をステージに叩きつけると同時に銀テープが発射される演出が最高で、ゲイもヘテロもドラァグもカジュアルも揃って「きゃあああああ」と叫ぶ。大地が割れる! 羽生結弦のあれ! とか騒いでました。最高。

こうした「動」と、センターステージでの「静」というメリハリも素晴らしかった……個人的ハイライトはやはりセンターステージ、「Say Something」からのパート。アコギとカイリーだけで演奏するなか、巨大ミラーボールが降りてきてアリーナを煌びやかに染めたのだ。ミラボといえば菊地成孔の「ミラーボールを発明したひとにノーベル平和賞を」という名言があるのだが、その言葉を知っているひとは誰もが「その通り!」と思うであろう、夢のような光景だった。忘れがたい。


ツイート拝借。うう、画像観ただけで涙出ちゃう。


もひとつツイート拝借。激しく頷くわ! 澤部さんいらしてたんですね。

本編ラストは「All The Lovers」。ああ、これ14年前はオーラスにやったのだった。大きく手を振るカイリーに、精一杯両手を振り返す。スタンド後方も後方だったので見えている筈がない。それでも手を振らずにはいられない。カイリーをずっと見つめていたいのに、涙で視界がぼやけてしまう。

いつでも骨抜きにされ、いつでも背筋が伸びる。彼女を見ているといつも前を向ける。来てくれて本当に有難う、喜びに溢れた一夜でした。

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Setlist(setlist.fm

Act 1
01. Lights Camera Action (Shortened; contains elements of "Tension" and Benny Benassi's “Satisfaction”)
02. In Your Eyes
03. Get Outta My Way
04. What Do I Have to Do?
05. Come Into My World
06. Good As Gone
07. Spinning Around

Act 2
(Taboo)
08. On a Night Like This (Pandora cover)
09. last night i dreamt i fell in love (Alok & Kylie Minogue cover)
10. Better the Devil You Know
11. Shocked
12. Things We Do for Love
13. The Loco-Motion (Carole King cover)

Act 3
14. Hold On to Now
15. Turn It Into Love (Audience Request - Shortened)
16. Where the Wild Roses Grow (Nick Cave & the Bad Seeds cover) (Snippet)
17. Say Something
18. Supernova / Real Groove / Magic / Where Does the DJ Go?

Act 4
19. Confide in Me
20. Slow
21. Timebomb
22. Edge of Saturday Night (The Blessed Madonna & Kylie Minogue cover)

Act 5
23. Tension
24. Can't Get You Out of My Head
25. All the Lovers

Encore:
26. Padam Padam
27. I Should Be So Lucky
28. Love at First Sight

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おまけ。カイリーのワイン、アリーナではグラス提供があったそうです。ポスター見てボトルだけだよね〜なんて話していたのだった。結構早めに入場したのでアリーナにも降りてみればよかった……(大バコに慣れていない)。一般発売は3月31日からだそうで、呑めないのだが買うと決めている。てかノンアルもあるそうなのでそれも日本で売って〜

・数日後の台湾公演の様子もSNSを通じていっぱい観ることが出来たのだけど、フルハウスのアリーナは正直日本とは比べ物にならないくらい盛り上がっていた。日本は本当にガラパゴスになってしまったなと寂しくなったけど、満杯ではない会場でもプロフェッショナルなショウを見せてくれたカイリーには感謝するばかり。日本のカルチャーを愛してくれている彼女に寂しい思いをさせたくないなと日本のファンはがんばりました…懲りないでまた来てくれたらうれしいです……