思いつき日記
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2002年07月13日(土) |
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『素粒子』を読み終えた。 筆者の体験が色濃く反映されていると感じ、性表現のえげつなさにちょっと 引き気味だった読み始め、中盤だったが、それもエンディングへ向けての プロローグなんだと言い聞かせて読んでいた。 半分くらいまではちょっとずつ日々読み進めていった。 というかあまりにも過激な表現たちに抵抗があった…。
何の小説にしても私はその世界に入り込むのに時間がかかる。 いつもの事だ。
そしていつものようにノリにのると止まらない。 もう一気に読み進めてしまった。そのくらいこの小説は面白い。
素晴らしいの一言。ホントにエンディングへ向けての外すに外せない ストーリーの数々で丹念に描かれた人物、色々な表現はラストへ向けての伏線。 話題になるはずだ。
その中から。私が興味を持つに至った他人との人間関係についての描写。
何年も、何十年もつきあっているうちに、個人的な問題や、本当に重要な 事柄には触れないことが徐々に習慣化していく。しかしいつか、いい機会 が訪れたなら、そうした問題、事柄を話し合うことが出来るだろうという 希望もまた捨てずにいる。より人間的で、より完全な関係をいつかは 築けるのではないかという思いが、際限なく繰り延べられながらも決して すっかり消えうせはしないのは、ただ単にそれが不可能だからであり、 いかなる人間関係も狭く固定された枠に完全に収まりはしないからなのだ。 それゆえ、「本物の深い」関係に対する期待が保たれる。数年間、 数十年間保たれたのち、決定的な出来事が(一般的に相手の死という形で) 不意に起こり、もはや遅すぎる、これまで夢見てきた「本物の深い」関係 なるものは、ほかのすべてと同様、実現されずに終わりを告げるのだ。
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