すず子さんのボヤキ。
モクジ|カコ|ミライ
サツキの一大イベントと平行して。
すず太郎との約10年ぶりの再会も決行されました。
木曜の夜遅く、すず太郎から2度目の電話あり。
「そーいやさぁ、すずこ、オマエ引越しとかしてないよな?」
「うん、してない。だってココ、便利だもん。」
「そーか、そーか。なら良かった。
じゃぁ、明日、東京着いたらすずこんちのとこに車置いてから
仕事行くから。クライアントのほうも歓迎会が入ってるらしくて
接待なくなりそうだから、仕事終わったら連絡するよ。」
「・・・あのさぁ、タロちゃん?つかぬ事をお伺いしますが・・・。 フツーに宿泊手当てとか出てんでしょ?宿取りなさいよ。」
「・・・あのさぁ、すずこさん?宿代浮けば、酒代が出るんだよ?
タダ飲みできるサ!」
「・・・。おごりなワケ?そーなの?じゃぁ、お店は私が決めていいのね♪」
「・・・。すずちゃ〜ん。」
「知るか・・・!」
こんなやり取りがあり。
金曜日。
5時半の時点で、まだ、連絡ナシ。
「ま、まだ早いか。」
6時半。
「・・・仕事も片付いたし、その辺ブラブラしてるか。」
7時半。
「・・・まだかなぁ。。。」
8時。
「・・・とりあえず、ウチ帰っちゃおっかな。明日の準備もあるし。
近所のバーで飲めばイイや。」
9時。自宅。
自宅脇の空き地にすず太郎のものらしき車が置いてある。
「・・・。ちゃんと仕事には来てんのね。なぁんで連絡ないのよっ!。」
・・・と、ここでようやくこちらからメールしてみる。
「もしもし?接待になったん?ウチに戻ったから。」
9時半。ケータイが鳴る。
「すずこ、ゴメン!!今、仕事終わったから。1時間後には
そっち着くよ。」
・・・1時間後って。明日、何時に出んのよ?!
結局、すず太郎がウチに来たのは11時。
バーは朝までやってるけど、行ったら最後、明日の朝
起きれる自信がないので、ウチで酒盛りすることになった。
「おっ!前はこのソファーなかったよね?」
「そだね。今日のタロちゃんの寝床、ソコだから。」
「え?!マジ?!足半分、出るんですけど・・・。」
「イヤならいーよ、別に。酒代、浮いたんでしょ?
駅前にビジネスホテルあるから、そこ泊まってもらっても。」
「・・・ゴメンなさい。」
ビールと焼酎でとりあえず乾杯して、酒盛りスタート。
昔話に花が咲く。
1時を回りそうになって、そろそろ寝なきゃ明日もキツイな・・・
と思ったころ、いい感じでテンションあがってきてたすず太郎が、一言。
「すずちゃ〜ん、恋してるんだって?」
「・・・え?」
「サツキから聞いてるよ〜。すずこは今、レンアイ中だって。」
「・・・。
そりゃ〜間違いだわ。」
「何だよ〜。今の『間』はぁっ!!!」
バコッ!!と、すず太郎の手がワタシの頭を打つ。
「痛いなぁ〜っ!何すんだよっ!!」
バチッ!!
・・・あ、ヤベ。。。ほっぺたぶっちゃった。
「何だよ、ムキになって・・・」
すず太郎もワタシの反撃にびっくりしたらしい。
ワタシもびっくりした。
酔いが一瞬醒めて、ひるんだすず太郎を見たら、
感情のコントロールが効かなくなった。
じわっ・・・と、涙が出そうになる。
わー!!!ヤバイ!ヤバイよ!
意外と頭の中は冷静にそう思ってたんだけど、思えば思うほど、
涙が出てきて、「くぅ〜・・・!」と、嗚咽交じりになる。
たまらず、タオルを取りに席を立つ。
「すずこ〜、だいじょぶか?悪かったよ、ゴメンな?」
返事も出来ず。
「う〜。。。」とタオルに顔をうずめたまま座り込む。
酔いがさらに回って、頭イタイ。。。
バツが悪くて顔を上げることも出来ない。
嗚咽が収まっても、しばらくそのまま座ってたら、
すず太郎が一人で片づけを始めた。
顔を上げるタイミングを失って、そのまますず太郎が片づけする気配を
感じてた。
「ハイハイ。ごめんな。明日早いし、もう、寝よ。」
「・・・すず太郎はあっち。」
と、顔を上げずにベッドを指差す。
もともとそのつもりだった。私がソファで寝る。
「あ、そう。どうも。」
ここで「イヤ、オレはソファで寝るよ」とか言っても、時間の無駄だと
察したのか、素直にすず太郎も従う。
・・・こんなつもりじゃなかったのにな。
ホントにバツが悪くて、結局すず太郎が先にフトンに入るまで、
動けなかった。
「オヤスミ。先寝るよ。すずこも早く寝なさい。」
「ん〜・・・。オヤスミ」
ようやく顔を上げて動き出す。
ヤバイよ。明日、顔腫れてるよ。
バシャバシャと顔を洗う。
明日起きたら、シャワー浴びなきゃ。
寝坊しないようにしなきゃ。
忘れ物しないようにしなきゃ。
スピーチ、ちゃんと話さなきゃ。。。
。。。
色々考えながら顔を洗ってたら、また涙が出てきた。
「・・・ゴメン、もっとそっち行って。」
結局、この日、タロちゃんと何年か振りで一緒のフトンで寝る。
ごめんね、タロちゃん。明日、車の中で話せたら話すよ。
オヤスミ。
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