モリハルゆ記

2006年07月15日(土) ほろ苦

 夕立が、打ち水したかのようにうだる暑さを和らげた。上野から銀座線で一つ目の稲荷町駅界隈のお寺には、ほとんど人がいない。

 「雨が降ってきたので皆さんお帰りになったみたいですよ。」住職の奥さんがお線香に火をつけながら私の疑問に答えてくれた。以前モリハルは不謹慎にもお盆が終わってからお墓参りしたことある。そのときも閑散としていた。そのことを思い出し「私しかいないみたいですけど、今日お盆ですよね?」と、お布施を渡し、お線香の購入をお願いしたとき質問した。以前同じ質問したときには「いつお墓参りに来ていただいてもよろしいんですよ。」と答えてくれた。奥さんいい人だ。

 モリ家のお墓に入っているご先祖様で、モリハル会ったことがあり知っているのは祖母と父だけだ。祖母は晩年父の叔父さんと一緒に千葉に住んでいたので、記憶が薄い。よって父のお墓という認識が強い。だから普段はまったく思い出さないが、お墓参りに来るたびに父を思い出す。

 父はお酒弱かったのに、「ビールはキリンだな」とこだわっていた。ビンビールの王冠を栓抜きで「コンコン」と叩いてから「シュポッ!」と開ける。ビールをお酌しようとすると「飲みきる前に注ぎ足されると不味くなる」と言われた。大瓶1本飲む前に真っ赤になり、居眠りしてしまうくらい弱かったのに、しきたりにはうるさかった。

 そんな父を思い出したらビール飲みたくなってきた。お寺近くの路上で大瓶飲むわけにはいかないから、コンビニで缶ビールを買った。『キリン・クラシックラガー』は最近流行りのプレミアムビールとは違う、昔ながらの苦さがある。お盆の中日、ほろ苦い一日だ。

     


 < 過去  INDEX  未来 >


モリハル [MAIL]

My追加