今迄。そしてこれから。



 White.








「人を殺したいと思ったことはありますか?」
「いや、殺したい程憎らしいと思ったことはるけどね。」
「では、何故、そこで殺さないのですか?」
「そりゃ・・・、法律違反だからさ。」
「法律違反でなければ、殺すのですか?人を。」
「・・・・うーん。どうだろうね。」
「・・・その対象は?」
「色々。」
「あまり野暮なことは聞かない方が宜しいでしょうか。」
「そう願いたいね。」
「そうですか。では、あなたは御友人に不満をもたれていますか?」
「嗚呼、また際どい質問が来たね。」
「すみません。」
「いやいや、謝る必要はぁ、ないよ。友人か・・・そうだねぇ。」
「その様子では、御有りですか?」
「ははは。まぁ、そんなとこかな。でもね、何時もということじゃ
決してないよ。」
「と、いいますと?」
「発作的に起こるのさ。嗚呼なんてこいつは蒙昧なんだろうって
思ってしまう瞬間が。」
「それは、異性?同性?」
「おいおい、聞いてどうするんだよ。・・・まぁ、同性が多いかな。
だいたい異性の友だちなんて数える程しかいないしね。」
「そうですか。」
「他に、何か?」
「ええ、好みの色など。」
「色?そうだね・・・蒼は好きだな。清澄で。でも、黒も好きだし・・・
全般的に好きだね。ただ、」
「ただ?」
「ピンク・・・は駄目だな。あれは、うけつけない」
「何故?」
「うーん・・・あの色は、軽いと思うだけさ。
あんなにも、人生は浮いてはいないと思うから、それだけ。」
「そうですか。あなたにとって人生とは?」
「人生・・・ねぇ。そんなものがわかっていたら、人は生きるのに
苦労なんかしないんじゃないかい?」
「・・・わかりません。」
「嗚呼御免御免。君を責めてるわけじゃぁないんだ。
なにしろ君に人間を理解しろなんて、無理な話しだものね。」
「白はお好きですか?」
「白・・・好きだよ。ただ、白は、汚い色だよね。」
「何故?」
「何故って?白は、すぐに汚れてしまうからさ。」
「どういうことですか。」
「蒼には蒼。黒には黒。赤には赤。皆「自身」を持っている。
そしてどんなに色を混ぜてもなかなか「自身」は手放さない。
だから、蒼は紫になっても蒼が残っていられるし赤も橙になっても
赤が残っている。だけどね。」
「はい」
「白は・・・すぐに汚れてしまう。
黒を少し入れれば灰色に、蒼をまぜれば水色に。
簡単に「自身」を手放してしまう。」
「それは、どのような御考えからでしょうか。」
「自分を自立しなければならないという考えからさ。」
「人は、共生してはならないのですか。」
「そういうんじゃ、ない。人はどうしたって独り。
これはあがられない宿命さ。だから、
独りで全てをどうにかしなくちゃならない。」
「では、協力とは、なんなのでしょう。」
「あれは、一人一人の独りが成立って初めて実現する
生きて行く為の手段だよ。」
「よくわかりません。」
「嗚呼でも君の知能でここまで来れたのは優秀だよ。
なんてったって、あの友人からの人工知能だからね。
多少理解できないところがあったとしても、まだ優秀さ。」
「そうですか。」
「そうとも。 おや、鐘が鳴っているね。
そろそろ、御開きとしよう。」
「はい。」
「あ、そうそう、君。」
「なんでしょう。」
「大変気に入った。と伝えておいてくれ、奴に。」
「畏まりました。」
「場合によっちゃ、話し相手に雇ってやってもよいとな。」
「はい。」




 


     白い鳩に、  白い教会。   眩い白い光。




















*6月14日に穴埋めとして記入されたものです。







2002年06月13日(木)
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