twilight shackles
枷夜(かや)



 「寒くなりましたね。」

仕事上がりに駅周りをうろうろ。
時間を見たら、会えるかもしれない...。

「駅で会うことは出来ませんか?」

少し待ち時間はあったけれど...
待ち時間すら、私は楽しんだ。

先月末の逢瀬の時に、待ち時間で探したモノ。
12月...そう、クリスマスプレゼント。
次の日の朝、お別れ間際に聞いたのかな?
今欲しいものの中にちょうどコレがあった。

聞いてから買うのは楽しくないんだけれど
聞く前から考えていたのだからいいよね、と
メールを待ちながらお店でさっさと購入。
ラッピングもしてもらえた。

あぁ...この紙バッグ私が欲しいなぁ...
と思いながら(笑)今度は文具屋さんでカードを買い
ペンを片手にちゃちゃちゃっと書いてしまう。

喫茶店で座ってコーヒーを飲みながら
主様が来られるのを待っている。
主様も自分の飲み物を注文されてこちらに座られる。

「疲れた...」
お疲れ様です、と座りながらですが軽く礼をする。
「お疲れ...」

色々と調べ物の多い部署の主様。
会社のネット環境が思わしくなくて捗らないと
軽く愚痴をこぼされていました。

「寒くなりましたね。」
そう、これにした一番の理由だった。
「そうだな。」
主様は飲み物を口にされながら返答して下さった。
「じゃあ...」
先ほどラッピングしてもらったものを差し出した。
「使ってくださいねw」
「なっっっっ!?」
主様の動きが5秒ほど固まった。笑。
「これは、何だ?」
「えっと、20日ほど早いですけど。」
クリスマスプレゼントだと告げた。
紙バッグの側面を見て、どこのブランドかを知る。
「をい。」
...そんなたいそうなブランドじゃないですよ;

「クリスマスまで待つより...
 今、差し上げるべきだと思って...」

主様、恐る恐る開封...
中から出てきたのは、モスグリーンのマフラー。
そう、マフラーを、贈りたかったのです。
個人的に、季節モノ贈るの好きじゃないけど...
実は一目ぼれしちゃったんですよね。

「...いくらした。」

...だから、値段を聞くのはタブーですって;
「去年のベルトと大差ないですよ」
でも、事実だから伝えておく。
黙ると「むぅ」というんだ、きっと。

主様は、ちょっと黙ったあと...
思いがけないことを仰った!!!

「拉致決定。」

「えぇぇぇーーーーーー!!!」
主様がプレゼントを見たとき以上の驚きだったと思う。
色々、言い訳をしたけど聞いてもらえるはずが無い。
仕方なく...自宅に連絡して拉致られることになる。

拉致されたくて、贈ったんじゃないのに...

「〜したくて(されたくて)したんじゃない」
が、最近の特に贈り物についての口癖になってる。
主様が飲み物を空にされて立ち上がる。
早速首に巻いてくださった。コートの色に合わせた
そのマフラーは主様にちゃんと馴染んでいた。

移動中、カードを読んで頂いてないことに気付く。
ダメ出しは頂きましたとも、えぇ。柱を机代わりに
急いでかいたから筆記体おかしかったですよ。うぅ。

(そう、紙バックは私のものになりましたのでw
  やったー。こっそり願っておくものね、やっぱり♪)

明日の仕事用のシャツやネクタイを購入して
主様と電車に乗った。
電車はまっすぐ、目的地に着いて...夕食に
マクドナルドでグラコロセットを2つ買って
ホテルの中に入った。

お風呂を準備しながらソファに座って
テレビはプロジェクトXなんて付けてみて。
そこでやっと「ありがとう」と言葉を頂く。
驚きが多かったんですよね、はじめは。
驚いていただくために贈るのだからいいのだけど。

ごはんを食べてお風呂に入ってベッドに入る。
主様は、ちょっとお仕事の書類を読まれていて
私は横で寝そべって主様を見上げてる。
「こんな姿を見るのは、枷夜くらいだと思うよ」
「そうなんですか?」
「こんな主も居るのだと、見せてやりたいんだろうな...」
主様は左手で書類を持ちながら右手で撫でていて下さった。
それだけで眠気が...zzz




書類を読み終えて書類を直されると名前を呼んで下さった。
戻って来れたんだ...。
心の底からの安堵感を感じた瞬間だった。

2004年12月07日(火)
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