せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2002年02月20日(水) |
「Trick」稽古 6回目 |
今回の「Trick」という芝居は、入れ子の構造になってるんだけど、その内側にある「物語」を決める。 チェーホフの「三人姉妹」とか、森本薫の「華々しき一族」とか、柳美里の「魚の祭り」とかいろいろ考えたんだけど、ジュネの「女中たち」に決定。 薄井さんがこれまでずっとやってきた「女中たち」。 30歳で初演して、一番最近は6年前にソランジュ役をやってる。 劇場はシアターX、クレール役は本木雅弘。 NHKのBSでも放送されたから見てる人も多いかもしれない。 あの中の、奥様と女中という階級の違い、そして、奥様ごっこを演じる女中たちという入れ子をただでさえ、入れ子の芝居の中に取り込む。 舞台には大きな鏡をおくことにしよう。 こないだ早瀬くんに車を運転してもらって、実家から高円寺に持ってきた、巨大な鏡(縦1.8m×横1m)を使ってしまう。 「ひまわり」の鏡とは違った意味でいろいろなものを映してくれるだろう。 稽古場に、青山さんに「女中たち」を劇中で使いたいんだけどと相談する。 「ええ?」と言われたらどうしようかと思ったんだけど、青山さんは気持ちよく、了解してくれた。 青山さんは「ずっと『女中たち』をやってた僕が、また芝居の中で『女中たち』をやる。そういうある種のメタシアター的な部分がないと関根くんの芝居らしくないからね」と言ってくれる。 ありがたい。 今日の稽古は、いっこうちゃんが仕事の都合でNGなので、4人で。 ストレッチをしながら、芝居の話、ジュネの話をいろいろする。 こないだ、稽古場で郡司君に演奏してもらったオーボエの曲、ドビュッシーの「夢想」をテーマ曲として使うつもりだということも話す。 阿佐ヶ谷の稽古場での、その「お試し」の演奏は、なんだかとってもすごかった。 元々、演劇で使うには、反響がよすぎる部屋なんだけど、その中で、郡司君の演奏するオーボエは、とってもいい響き方をしてた。 できれば、本番でも生演奏をしてもらいたいんだけど、どうだろうか?という僕のお願いに答えてくれての「試演」だった。 駅前劇場は、どうしても音をすってしまうしね。 どうしようか考えよう。 稽古の最後に、稽古場の壁の張り紙に書いてある言葉を覚えて、それを素材にして遊んでみる。 こんなの「この部屋は、合唱・演劇・ダンス・軽体操等の目的で使用できますが、防音設備が整っていません。近隣の迷惑にならない範囲での利用をお願いします。……」 「……」の部分は、前半後半に分けて、僕が覚えたのは、前半だけだから。 僕と早瀬くんはこの前半部分を、青山さんと郡司君は「……」の後半部分を(ごめん)を3分で覚えた。 書き言葉をしゃべり言葉にするってどういうことなんだろうっていうのをやりたかった。 それは、これから、取り組むことになる絢爛豪華なジュネのセリフへの予習だ。 とってもお役所っぽいキャラでしゃべってる郡司くんがとっても楽しい。 こういった同じセリフ(?)を同じ時間でせーので覚えて、みんなで遊ぶのはとっても楽しい。 それまでの経歴とか関係なく、みんな同じ地点からスタートできるから。 もちろん、その上で、どうやってくかってあたりは、もちろん「腕の見せ所」なんだけどね。 稽古を早めにあがって、また明日ねと別れる。 帰り道、近所のツタヤで郡司君が「なかなか見つからない」と言っていた、ドビュッシーの「夢想」のオーボエバージョンを発見する。 宮本文昭がハープと一緒に演奏してる、すっごい古いCDだ。だって、宮本文昭が若々しいもの。 このCDでの曲名は「夢」。でも、ちゃんと試聴して間違いないことを確認。 早速、郡司君に電話してお知らせする。 うん、これでいこう!!
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