せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2003年09月04日(木) 歌舞伎座「俊寛」「身替座禅」「無間の鐘」

 この間の稽古の帰り、キッちゃんに誘われた歌舞伎座の夜の部ご招待。
 一階花道キワのすごいいい席。
 「俊寛」。ボロだという設定の衣装が、実に豪華な「ボロ切れ」で出来ている。間近で見るととそれがよくわかる。
 芝居は、瀬尾の冨十郎さんがとってもよかった。
 俊寛の吉右衛門さんは、思ってたよりも、ずっと人間くさい俊寛をつくりあげてた。
 魁春さんの千鳥は、よく動いて、とってもかわいかった。
 花道を押し寄せてくる波布にびっくりしたキッちゃんもかわいかったね。
 「身替座禅」冨十郎さんの右京に吉右衛門さんの奥方。
 まあ、こんなところかというかんじ。
 「無間の鐘」 初めて見る演目。「ひらかな盛衰記」の中のお話。
 信二郎さんの源太は、なんだかただの遊び人風で、こんな男に惚れてるわけ?なんて考えてしまう。紫の着物に羽織りという豪華なコーディネートもすごかった。
 彼に入れあげてる遊女梅ヶ枝が福助さん。
 明朝に迫る源太の出陣、そのために必要な鎧甲を質に入れてしまって、うけだすにもお金はないし、どうしよう……。その鐘をつくと、来世では地獄に堕ちるけれど、現世ではお金が手に入るという「無間の鐘」の故事。その鐘に、この「手水鉢」を見立ててうってみよう! と手水鉢を叩くと空から小判が……。というお話。小判をまいてたのは、上の座敷に身分を隠し客として来ていた源太の母親だったのだという落ちがあるそう。
 黒衣さんが大活躍する舞台。しかけもいっぱいあるし。小判降ったりとか、手水鉢をたたいたときに「水気」が上がるとか。
 上手袖で舞台監督風に人がずっと心配そうに立ってるのがよく見えた。
 見ているときは、何これ?と思って、笑ってたんだけど、これが一番おもしろかったかもしれない。
 見所は「どうしよう、どうしよう」って延々と悩む梅ヶ枝の福助さん。「無間の鐘」でいこう!と決めてからの憑かれた芝居がよかったね。
 この幕は、途中で帰ったキッちゃんの職場の先輩の席に移動。
 花道をわたった正面の客席。
 まわりのおばさんたちのうるさいこと。
 キッちゃんいわく「1階席は金持ちのおばさんたちだから……」。そうなんだと思うな。
 始まる前、「女形は足の毛をどうしてるのか」とキッちゃんに聞かれる。
 「みんな剃ってるんじゃない? 男役だって、足出す役あるし。子供の頃からだから抵抗ないんじゃない、きっと」と答える。
 この幕の頭で花魁道中があって、福助さんが登場。
 ついてくる中間がみんなすね毛ぼーぼーなのを発見。
 終演後、「剃ってない人もいたね」と話す。
 福助さんの足の大きさにキッちゃんはびっくりしたそう。うーん、たしかに。


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