せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2003年09月14日(日) |
レインボーマーチ札幌(2日目) |
朝から快晴。 ただ、すごい風が吹いていてとても寒い。 集合場所のテレビ塔下に出掛けていく。 参加者が続々集合。去年よりも大勢の人が来ている気がする。 ここでもまた懐かしい人たちに会う。 日射しはどんどん強くなって台風一過のすごい天気に。露出の高い人が見る見る日焼けしていくのを心配しながら見てた。 1時に出発。初めての集合場所、ルートということもあって、所々トラブルもあったみたいだけど、歩き出してしまえばもうだいじょうぶ。札幌の街をパレードする。 札幌のパレードは、毎年本当にいい気持ちだ。 道路が広く碁盤の目のようになっている札幌の街では、道路をきっちり通行止めにしてパレードをさせてくれる。警察の規制も東京のくらべればずっとゆるやかだ。 フロートもとっても背が高いし、風船もみんなで持って歩ける。 すすきのをぐるっとまわって、駅前通りでみんなで風船を空に飛ばす。 真っ青な空にカラフルな風船が消えていく。毎年ここでじーんと感動する。 二丁目レインボー祭りの花火もそうだけど、この「上を見上げる」っていうのが、いいのかな? ともかく、みんなとってもいい顔で空を見上げた。 その後、大通公園をぐるっと回って、テレビ塔の下で集会。 今回の目玉はなんといっても、上田札幌市長が挨拶に来たことだ。 これはもう日本で初めて! レズビアン&ゲイパレード(プライドマーチ)を開催する街の首長が集会に参加するなんて。 上田市長の挨拶は、「私たち札幌市民は、あなたたちセクシュアルマイノリティを歓迎します」というものだった(すっごい要約するとね)。 とっても感動的なスピーチだった。何人も何人もの参加者が涙ぐんでいた。もちろん僕もだけど。今これを書きながらもうるうるしている。 札幌の市長選挙の頃から、公開質問状を出すなどして、積極的にアプローチをしていた実行委員会が、セクシュアルマイノリティの人権について前向きに考える考える、もとい、レインボーマーチには参加もしくはコメントを寄せると解答した上田市長が当選した結果、「それなら来て下さい」と交渉して実現したのだそう。これはほんとうに歴史的な事件だと思う。 初めはメッセージを寄せるだけの予定だったのが、本人が挨拶に来ることになり、そのことを発表する記者会見に、今年の実行委員長のケンタこと桑木昭嗣さんは、ドラァグクィーンを二人連れていったそうだ。やるね!! 市役所の職員はみんな目を丸くしていたって。 夜から、旅館で大宴会。楽しく盛り上がる。テラ出版のみなさん、そして平井社長、ほんとうにありがとうございました。 そんなこんなで、メインのパレードも終わったので、僕は、じょじょに劇作家モードに頭を切り替えていく。 夜の札幌の街をいいかげんにふらふら歩きながら、あれこれ考えをめぐらす。 遅くなってアフターパーティに参加。 今日はドラァグクィーンというよりは、ゴーゴーボーイのみなさんを堪能する。ツヨシくんのショーをほとんど初めてちゃんと見て、感動する。自我をなくして溺れるように陶酔しきって踊るゴーゴーボーイが多い中、彼はずっとどう観客をコミュニケートしていくかということを考え続けている。彼のダンスを、一つのパフォーマンスとして、ほんとにおもしろく見させてもらった。 イナガキくんと再会して、思い切り話しこむ。「スイカ」のことやら、パレードのことやら。 さくさくと帰るつもりが、ムラポン、去年の実行委員長竹村くんなども加わって、クローズの時間まで。 いやあ、いい夜だった。 毎年思うことだけれど、札幌のパレードはかならず感動をくれる。 元気のもとといってもいいかもしれない。 これがパレードのいいところなんだ。運営する側の苦労はよくわかっているけれど、一参加者としてのこの気持を忘れないでいたいと思う。 この元気をもとにして、きっと僕はまた芝居を続けていける。 初めて札幌にフライングステージを呼んでもらったのは、96年の2月だ。札幌ミーティングのみんなが吹雪の中、フライヤーを配ってくれて、ほんとにたくさんのお客さんに見てもらえて、ほんとうにうれしかった。後で「ゴッホからの最後の手紙」の稽古のとき、斎藤歩さんが「あんなふうにチラシ配ってるの久し振りに見て感動したんだわ」と言ってくれたのが、彼等のことだった。 公演を終えた翌日、みんなで札幌駅のホームまで見送ってくれて、僕らはなんて幸せなんだろうと思った。 その初めての札幌公演の帰りの飛行機の中で、僕は、4月に予定していた芝居の企画を全とっかえすることにした。そうしてできた芝居が「陽気な幽霊」だ。あの芝居は、札幌のみんなからもらったパワーでできている。 「陽気な幽霊」という芝居はフライングステージの一つの節目になった芝居だ。 再演して、池袋演劇祭のグランプリをとって、フライングステージの代表作になってる。 今回のパレードからも、僕は何かをちゃんともらって帰ってきた気がしてる。 いい芝居をまたつくろう。
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