せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2004年12月01日(水) |
「生きながら火に焼かれて」 |
アムネスティのリーディング台本の構成のために、「生きながら火に焼かれて」を読み直す。 シスヨルダンのスアド(仮名)という女性が、19歳で恋に落ちて、子供を身ごもったために、一族の恥であるとして焼き殺されそうになる。いわゆる「名誉の殺人」だ。この本は、彼女が人権団体の女性ジョセフィーヌに救われてスイスへ逃げ延び、その後二十数年経ってから当時を振り返り手記として書いたもの。 部族社会の中での抑圧された女性の生活ぶりはすさまじい。男性=抑圧する側として、ずっと読んでいると、彼女をスイスへ送るために両親がエルサレムへビザの申請にいく場面の緊張感に息をのむ。抑圧する側だった彼らもまた、イスラエル人に対してはまた、被抑圧者となるのだ。この果てしない暴力の構造の不毛さに唖然とする。 現在もまだ「名誉の殺人」は続いているという。アムネスティが集めた、女性たちの詩のほかに、スアドさんの声と人生をきっちりとりあげて、いい台本にしたいと思う。 このエルサレムでの場面を取り入れることで、くり返される暴力の構造のおおもとが見えてくるような気がする。
篠原さんと西山水木さんから、来年、熊本で開催される劇作家大会の案内をいただく。99年の札幌の大会では、篠原さんと出会い、戯曲賞の候補になっていた「ゴッホからの最後の手紙」のリーディングを行った。あれから五年。今度は、劇作家としてお手伝いをしようと思っていたら、大会の日程が判明。3月18日〜21日。DOUBLE FACEの公演とまるかぶりだ。 篠原さんに、申し訳ないけれどと電話をかける。もっと早く知ってたら、どうにかしたんだけど。お手伝いできなくてとても残念。篠原さんたちにぼくの舞台を見てもらえないのも残念。
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