せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2004年12月12日(日) |
「贋作・毛皮のマリー」稽古 「新撰組!」最終回 |
台本をもっていく。第1場の終わりまで。「毛皮のマリー」と「サンセット大通り」と「星の王子さま」がミックスされた不思議な場面ができてきた。 自分がしゃべる台詞をこんなにたくさん書いているのはひさしぶり。 マリーさんとして、がんがんしゃべって、「大見得切った」芝居ばかりをわざわざしてみる。 まみーが演じる、永遠の付き人・とみさんとのやりとり、それから、美少年・欣也を演じる早瀬くんとのやりとり。 盛りだくさんで芝居ばっかりをしてみる。 まだ出番がない良ちゃんとノグとトシくん、ごめんなさい。 この調子でがんがん書くから。 最後は今日も唄の練習。僕と良ちゃんは昨日よりもずいぶんいいかんじになってる。 プリンターの調子が悪い。 いくらヘッドをクリーニングしてもブラックのカートリッジからインクが出てこない。 いつも台本を書くのに使っているソフト、ページメーカーは、用紙の種類の調整ができないので、これを機会にワードで書いていくことに決める。 書式の設定をして、なんとかできあがるが、いちいち親切で重たくてしかたない。 それでも、こちらなら、なんとか印刷は可能。 だましだまし続きを書いていく。 プリンターをいじっているうちに朝になってしまいそうだったので、ついでに録画しておいた大河ドラマ「新撰組!」の最終回を見る。 終わりまで見て、「完」の文字が出た途端、拍手してしまう。音のしない拍手。 その後続いた、ジョン・建・ヌッツォの唄に乗ってこれまでのダイジェストがカーテンコールのように流れる間もずっと。すぐに「何してんだろう?」と思ったが、確信犯で続けてしまう。 これまでまいておいた伏線の回収のしかたの見事さ。野田秀樹、古田新太の芝居の大きさ。すべての人物にきっちり決着をつけて、見事な最終回だった。 史実にもとづいたフィクションとしての飛躍のしかたが、なんてあたたかいんだろうと思う。 板橋の宿で留置されていた家の少女に、近藤勇がげんこつを口にいれて見せる場面。 野田秀樹と羽場裕一が、同じ画面で芝居をしている。 往年の土方歳三役者、沖田総司役者が、今の土方と沖田である山本耕史、藤原竜也とからんでいる、そのからみかた。盲目の旧土方の前で、山本土方は、はらはらと涙を流し、刺客に命をねらわれて、目の前でお幸を殺された藤原沖田の前に、植木屋の親方役の旧沖田が、預かっていた刀を投げる。 三谷さんが書いた「新撰組!」の物語は、農民が武士になったとたんに武士の世の中は終わってしまうという幕末の史実を、これって「シチュエーションコメディだよね」という視点でつづっていく。 命がけのコメディ。笑ってしまうけど、泣けてしまう、そんなほろにがい、切なく悲しい人々の姿を愛情をこめて描ききったといえるんじゃないかと思う。 「なんでもない」若者が、武士になって、歴史の中心で活躍するというお話を、TVではなかなか見られない小劇場系の「無名に近い」俳優達を使ってつくりあげているというしかけもも、二重構造で実におもしろかった。 始まった当初は、どうよ?と思った「新撰組!」だけど、僕はとっても楽しんだ。 そして、三谷幸喜という作家のいい仕事を、たっぷり見させてもらった気がしている。
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