せきねしんいちの観劇&稽古日記
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相鉄本多劇場に劇団印象の「青鬼」を見に行く。 今日も、岸本くん、遠藤くん、相楽みっちゃんと一緒になる。 先週見せてもらった稽古が断片だったので、一体どんなお話だろうとわくわく。 旅先でイルカの肉を食べてからすっかりイルカ好きになり、食用のイルカを部屋で飼うほどになった夫と妻のお話。そのうち、イルカは人間の言葉が話せるようになり、どんどん人間になっていく。同時に、夫もどんどんイルカになっていき・・・。 冒頭から、イルカの着ぐるみが登場してびっくり。卑怯だなあ(笑)と思いながら、一気に引き込まれる。芝居の嘘の楽しさに無理矢理ひきずりこまれるかんじ。 食べる側と食べられる側に友情があったらどうなるんだろうというお話は、なかなかに深くておもしろい。 映画「マダガスカル」では、ライオンとシマウマの間に友情があるのだけれど、そんなの絵空事だという観客の思いにちゃんと答えて、終盤、シマウマが肉に見えてしまうライオンが描かれる。 児童文学の「ドリトル先生」も動物たちがみんな仲良しな設定だけれど(ドリトル先生も含めて)、子どもの頃、大好きだったこのお話が遠くなったのは、ドリトル先生が仲良しのブタのかたわらでハムを食べている挿絵を見てしまったからだ。 「マダガスカル」は、「魚を食べる」という結論(or逃げ道)を選んで見事だったのだけれど、「青鬼」の結末はもっとシビアだ。 「食べたら死んでしまう」という、この物語のルールは、「ちょっとだけ食べれば死なないんじゃない」という逃げ道が思い浮かんでしまうのだけれど、これはやっぱり寓話なのだと思う。 「食べたいほど好き」という言葉のもつ怖さや、食欲の裏にある淋しさまでが感じられる、おもしろい舞台だった。 終演後の初日乾杯におじゃまする。 帰りの電車では、もっちゃん、えんちゃんと芝居の話をたくさん。 なんとなく、まっすぐ帰るのがもったいなくなり、今日も渋谷から銀座線で浅草まで出て、終電までの短い時間、浅草の町を散歩する。
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