*未完成のお城*

2003年11月07日(金)  本当に始められる?

禁忌を…冒してしまったかもしれない。
過ぎてしまったことを揺り起こしてしまったかもしれない。
忘れていたかもしれないことを、思い出させてしまったのかもしれない。

どうして?と、訊かれれば、「寂しかったから」としか言えない。

メールへの返事は電話だった。
何ヶ月ぶりかに聴くその声に、恐怖が半分、不思議が半分。
自分でも自分の気持ちが良く分からない。

何故、メールしてしまったんだろう。

今となってはそう思う。
どうして、何故、なんで、と疑問符ばかり繰り返す。
でも、きっと、あたしが寂しかったからなんだ。

寂しさで縋ってはいけない人なのに。

もう傷つけてはいけない人だ。
そう思う。
たぶん、傷つけたであろうあの日からずっと、後悔している。

優しい人だから、もう気にしてないかもしれないけれど。

嬉しそうな声が心苦しかった。
あたしはそんな声で喜んでもらえるほど「良い女」じゃないのに。
あなたが思うほど、優しくも、可愛くもないのに。

これからまた、繰り返すんだろうか。

あたしは恋の出来ない欠陥品だと思う。
あなたとなら出来ると思ったけど、でも、無理だった。
それでもまた、あなたと、繰り返すんだろうか。

もう少し、時間が欲しい。

今は時間が足りない。
あたしの心の余裕も足りない。
足りないものだらけで、崖っぷちだ。

春がきたら。

ねぇ、春がきたら、なにかが変わってるかもしれない。
あたしが「其処」へ戻って、ひとりきりじゃなくなって、社会に出て。
時間の余裕も心の余裕も出来たら、なにかが変わってるかもしれない。

恋に変わるのはそれからでもいい。
恋になれるなら、それからがいい。

あたしのワガママばかりだけれど、受け入れてもらえるならば。

あなたとなら、恋を始められると思ったこともあったんだ。
それは本当のことなんだ。
あたしの15年の片想いを終わらせるのは、もしかしたらあなたかもしれないと。

本当に始められるだろうか

春がきたら

あたしの心にも その春は 訪れるだろうか。


 < 過去  INDEX  未来 >


hinase