Diary
沙希



 『六畳半ワンルームの夜。』


ワガママかもしれない自分の言葉に
引け目を感じた。
薄い薄い壁にも関わらずに
大音量のヒップホップじゃ、きっと
隣のおうちにご迷惑だ。

洗濯機が回転する様子をじっと眺めていた。
ぐるぐると水が回る。
ぐるぐるとお洋服が回る。
そんな当たり前で不思議な光景を
じっと眺めていた。

最近の自分はすごく嫌い。
言葉を吐き出すことをあきらめ始めている。
自分の言葉であるにも関わらずに
否定しかけている。
あぁ、何も意味なんてないって。
バカみたいに、いじけている。

ベッドに寝転がって、キミの手のぬくもりを思い出した。
そして、一緒に過ごす時のキミの笑顔を思い出した。
不確かな繋がりをそれでも必死に繋ぎ止めている
自分自身に気づいて苦笑い。
一人きりのお部屋で一人で笑ってる自分が気持ち悪くて
景気づけにビールでも飲もうと思う。
苦い苦いビールをおいしぃなんて思っちゃう最近のあたし。
甘い甘いカクテルばかりを飲んでいた10代の頃とは違う??
ぐるぐると回る洗濯機の音を聞きながら
あたしの思考もぐるぐると回る。回る。回る。

最近また、考えてるんだ。
『愛』って何??って。
あたしの存在とは切っても切れない『愛』っていう言葉。
やっぱりあたしの考える『愛』は『無償の愛』で
一般的に言われる母親から子供への『愛』こそが
『愛』なんだと思うんだけど??
見返りなんて求めずに、誰かを想うことができたなら素敵。
でも、まだそんなレベルまでは達していないけど
大好きな人が幸せになるなら、あたしは満足だなぁって
最近そう想うんだ。
たとえその人が愛するのがあたしじゃなかったとしても。
愛されるために、努力をするんじゃないもん。
好きでいてくれるから、好きなんじゃないもん。
そんなの薄っぺらい。確かにまだ、見返りを求めてしまう
ココロも存在するんだけど。それでも。ね。

あたしの目が届かないところでも
キミが幸せを感じるなら、キミのココロが安らぐなら
それでいいんじゃないかって。そう想うんだ。

一気に飲み干した缶ビールの空き缶を
テーブルの上に置いたら「かつん」って音がして。
ふとわれに返る。

考えなしに吐き出した言葉に対する後悔を思い出す。
変革のきっかけはいつもささいなことなのだ。
だから注意深く、気をつけて生きているつもりなのに
ふと、間違えてしまう。後悔。

六畳半のワンルームで一人きり。
ぐるぐると考えてもキリがないことはわかってる。
だけど眠れない夜。
せめて、幸福の欠片を思い出したい。



2005年08月25日(木)
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