TOM's Diary
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2009年08月15日(土) |
コーヒー通なS氏の友人 |
S氏は友人の家にでかけた。 友人はS氏が来るなり、コーヒーの準備を始めた。
この友人は昔からコーヒー通なことで知られている。 おいしいコーヒーのためなら大概の努力は惜しまない。 だが、S氏はこの友人のコーヒーを飲むのは初めてだった。 ワクワクしながら友人がコーヒーを作る様子を見ていた。
ポットに水を入れ火にかける。 水はどこだかの湧き水らしく、先週クルマで汲みに行ってきたものを専用の冷蔵庫で保管していたものだ。友人曰く、水はじっとしていては痛んでしまう。常に動いていなければならないらしい。専用の冷蔵庫は汲んできた水を常に流し続けることができるようにした特注らしい。 S氏には普通のウォーターディスペンサーかなにかのようにしか見えないのだが。
お湯が沸くまでのあいだ、友人はガラスのコーヒーポットにガラスのロートを用意する。 ペーパーフィルターをロートにセットすると、魔法瓶に沸かしてあったお湯を注いで紙の臭いを取るのと同時に器具を暖める。ちなみにこのときに使うお湯は普通の水道水を浄水器にかけて出てきた水を湧かしたものらしい。
ポットのお湯が沸くと、友人は再度、お湯を器具に注いでやる。 器具が十分に暖まったのを確認すると、きっちりと封がされた瓶を開けて粉末状のものを専用のサジで2杯、ペーパーフィルターに入れ平らにならす。
ポットのお湯を少しだけ粉末の上に注ぎ、きっちり30秒間蒸らす。 その後、少しづつお湯をさしていく。当然お湯は常に沸騰直前を保つように注意を怠らない。 お湯は常に全体に行き渡るように”の”の字を描くように丁寧に注がれていく。
じっくり時間をかけてできあがったコーヒーを、保温機から出した暖かいカップに注ぎ、S氏の前に差し出した。 S氏はさすがに水が良いせいかおいしいとは感じたものの、ペーパーフィルターが非常に気になっていた。しかし、友人に、どう聞いたものか困っていた。
「フィルターにコーヒー豆が残っていないようなんだけど・・・これって・・・」
「あぁ、これか、異常気象のせいで良い豆が手に入らなくってな、で、豆を切らしちまって、インスタントコーヒーを使ったんだ。まぁ、雰囲気だけでも楽しめたろ?」
言葉の出ないS氏であった。
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