| 【読書日記】童話物語 |
童話物語 向山貴彦 著 幻冬舎
Amazonでの紹介ページ
感想 とても大好きな本の一つ。 久しぶりに読み返してみて、全く色あせていないどころか、むしろ新たな感動を受け、 電車で読んでいて、涙がこぼれそうになって困った。 クライマックスの一歩手前で、電車が到着し、 家に帰ってから続きを読んで、ぼろぼろと涙をこぼしてしまった。
初見の時、なんて性格の悪い女の子だろう、と思ったペチカ。 そんなペチカを、容赦なく打ちのめす環境。 意地が悪く、徹底的にねじくれ曲がった少年達。 悪魔のような守頭。 物語の前半部は、そんなふうに、どうしようもなく暗い。 だけど、いや、だからこそ、 ほんの小さな優しさが、くっきりと際だって、読み手の胸に飛び込んでくる。 優しくされたことのないせいで、素直に優しさを受け入れることの出来ないペチカに、 どうしようもないもどかしさを感じ、いらつきすら覚えさせられる。 だけど、少しずつ、確実に、本来の優しさを取り戻していこうとするペチカ。
この物語は、人としての暗い部分を容赦なく暴き立てる。 だけど、人は、変わることが出来ることを教えてくれる。
世界は、闇ばかりではないと言うことを。 「許す」ことの、偉大さを。 そして、愛する人を想う力の、計り知れない大きさを。 何より、素晴らしい物語を読むことの幸せを、実感出来る。
忘れちゃいけないのが、表紙を始めとする、数々の挿画達。 宮山香里さんによる、遠大かつ暖かなリトグラフ。 その一つ一つが、しっかりとした実感を持って、迫ってきます。 そう、「クローシャ」は、きっとこの世界のどこかにあるんじゃないか、 と思わせてくれるくらいに、綿密な世界観に裏付けられた、挿画の数々。
今、「童話物語」は、文庫でも発売されていますが、 ハードカヴァー版で読んだ方が、感動の度合いが大きいと思います。 宮山さんの挿画は、やはりハードカヴァーの方が、活き活きとしていると思うので。
荒んでいる現実に、ちょっと疲れてしまったときに、 新しい息吹を、そっと吹き込んでくれるような、そんな素敵なお話です。 未読の方は、損してますよ。
|
|
2003年02月05日(水)
|
|