【読書】退職刑事

退職刑事1 都築 道夫著 創元推理文庫


感想:
 とてもオーソドックスで、とても刺激的だ。
 ミステリィの形式としては、古典に入るであろう「安楽椅子探偵」の形式をとった作品。
 著者が後書きで述べているとおり、この使い古された形式という入れ物に、論理的で緻密な謎を入れ、その謎を物語中に出てくる言葉だけを頼りに鮮やかに解き明かす。

 物語は、現職刑事である主人公と、退職した刑事である主人公の父、主人公の妻、以上三人の語りだけで進む。事件については、主人公が父親に話す内容でしかなく、そういう意味では、探偵役である父親と読者は全く同じラインに並んでいると言える。
 だからこそ、解決編の父親の推理にうならされ、感心する。

 全てが短編でこぢんまりとまとまっており、だからこそスマートで洗練されている。
 マンネリになりがちなスタイルなのにもかかわらず、一編一編が刺激的で、飽きることがない。これは、ミステリィ作者としての都築氏の筆力によるものであることは確実だろう。

 傑作シリーズに数えられることは確実です。
 残りの作品も読まなくちゃな。
2003年12月20日(土)

日々 / いけだ