オトナの恋愛考
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2010年07月18日(日) 北風と太陽






彼のブログは私の心と身体を濡れさせるけど
なぜ、今までこんな風にストレートに書かなかった彼が
続けてブログに私との事を書いたのには理由がある。

10日前に私たちは早すぎる別れの危機に立たされた。

私にとってはとても悲しい事件の発端だった。

ある人物を介して私の知らない彼の一面を知った。
彼にとっては気軽で他愛もない事だったかもしれない。
でもそれは私を奈落の底に突き落とすほどの事実だった。

信じたい、でも信じられない。
私たちの関係はそもそもそれ自体が不誠実な関係かもしれないけれど
二人の間だけは誠実でいたかった。

先週の土曜日に逢う約束をしていたにも関らず
その前日に私は彼の他愛もない裏切りを知った。

私は知らない事になっている。どんな顔をして彼に逢えば良いのか。
土曜のセミナーに一緒に参加して、そのままデートの予定だったけど
急用ができたので遅れると連絡があった。

終わる頃やって来た彼の表情に気が付かないふりをした。

私は「北風」ではなく「太陽」になろうと決めていた。

「私は私と一緒にいる時のあなただけを信じてるから。」
ただそれだけを彼に伝えた。

冷たい北風の如く自分の悲しみや怒りを彼にぶつける事は簡単だけど
私は太陽になって彼の心を開き、彼の本心を確認したかった。

いつものように無邪気に振舞う私に安心したのか
彼はタクシーを拾って汐留に連れていった。

着いた先は今一番人気の高級なホテル。
日本テレビのビルが目の前にありその向こうに夜景が広がる高層階の部屋。

まだ仕事用のスーツを着ていた私をいきなりベッドに押し倒し
そのまま滅茶苦茶に抱きしめられて濃厚なキスを繰り返す。

そして今まで以上に激しく抱かれて
それまでの彼に対する不信感はいつのまにか忘れて
いや、嫉妬や危機感や不信感が快楽のスパイスとなって
何度も繰り返し私の身体はエクスタシーに上り詰めた。

彼は私がその事実を知っているのか何気なく確認しようと何度か試みた。
私は太陽となってそ知らぬ振りで
彼を信じきった馬鹿で無邪気で可愛い女を演じた。


前回と同じように最終の新幹線ホームまで見送ってくれた。
発車時刻まで身体を離してはくれなかった。

この日もずっと私たちは手を繋ぎ離れる事はなかった。

彼の心変わりを確認するために太陽になった私は
たぶん正解だったと思う。

それから今まで以上に毎日何度もメールを送ってくる。
頻繁に仕事帰りに電話で私の声を聴きたがった。

週末に逢ったばかりだったのに
出張帰りに私の住む町に途中下車をして
ルナの日でセックスは無理だとわかっていても私に逢いたがった。

駐車場の車の中で3時間近くも私たちは密着して
キスと愛撫を繰り返しセックスするより濃密な時間を過ごした。

彼は今まで書かなかったような私との事を
自分のブログに書き始めた。

お互いに何も言わなくても
彼が私を手放したくないという気持ちは確認できたので
私はあの事実を永久に知らない事にした。

彼を許し、いつか別れが来る時まで
彼を信じて精一杯愛することができると確信できた。


男の気持ちを引き止め愛情を独り占めしていたかったら
女は北風ではなく太陽になったほうがいいとそう思う。








夢うさぎ |MAIL

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