オトナの恋愛考
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2010年12月26日(日) |
All of You. あなたのすべて |
ひろの好きな部分はね。
ん?どこ?
ん〜目の下の泣きボクロ。
え?そうなの?
うん、自分で気が付いていない?
うん。それから?
それからね、肩から腕に掛けて。
あはは、そうなんだ。
まだ、ある。
どこ?
私はおしゃべりな唇を彼の寡黙な唇からちょっと離して そのちょっと上にある形の整った鼻先にキスをして
ここ。
と囁いた。
え、鼻?
うん、あなたの鼻先。
もう一度そこを舐めてそれからまた彼の唇をそっと吸った。
ひろ、本当はね、あなたの全部が好きなの。
あなたが自分で気にしている ちょっとクセのある髪も近眼の優しげな目元も少し血色の悪い唇も 毛深く逞しい腹から下半身にかけての筋肉も 昔の手術痕のあるちょっと最近メタボ気味のお腹も それからすぐに私に反応して私の中で暴れるペニスも 私の髪の毛からつま先まで全身を舐めまわす意地悪な舌も 私の体を自由に奏でる指先も耳元で囁く甘く静かな声も全部好き。
でも全部好きって言わないから 私は好きな全部にキスをする。
帰りの凍えるような峠に差し掛かった辺りで ひろからのメールが着信した。
今新幹線に乗った。今日はありがとう。 うさちゃんに暖めて貰って心身ともに休まったよ。
マウス大事に使うね。愛してるよ。
今度いつ逢えるのかもわからない。春が来るまでに、夏になったら、 また秋がきて冬を迎えるころになっても 私たちの関係は変わらないでいられるのだろうか。
うん、私もひろが私のすべてを暖めてくれたから また明日から元気に生きていけるよ。私も愛してる。
あなたのすべてを愛し始めたと気づいたイブの夜。
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